2019年8月20日 (火)

千の風になって









漢詩のなぞなぞ 22 千の風になって

 「千の風になって」という歌があります。死んだ後わたしはお墓の中にはいません。千の風になって大きな空を吹き渡っています、という歌です。
 漢詩人の中に、死後、この歌のとおり空を吹き渡って海を越え、はるばる日本までやってきて、ある歴史上有名な人物に生まれ変わったという人がいます。
 さてその歴史上の日本人とは誰で、もとの漢詩人とは誰でしょう。

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 答  千利休と陸游 (千の陸游(りくゆう))

 これは「陸羽(りくう)」でも正解としましょう。唐代の文筆家の陸羽は『茶経』を著し、岡倉天心が「茶道の鼻祖」と言ったそうですから、こちらの方が利休にはふさわしいかもしれません、

 南宋の陸游は、北の金に対する徹底抗戦、主戦論を称えた憂国詩人であった一方、故郷の風物を歌う叙情詩人でもあったそうです。一万首と言われる作品の中に、お茶を詠み込んだ詩もいくつかあるようです。

 临安春雨初霁    臨安にて春雨初めて霽(は)る  陸游 

世味年來薄似紗  世味(せいみ 年来 薄きこと紗(さ)に似たり
誰令騎馬客京華  誰か馬に騎りて京華に客たらしむ
小樓一夜聽春雨  小楼 一夜 春雨を聴き
深巷明朝賣杏花  深巷 明朝 杏花を売る
矮紙斜行閒作草  矮紙 斜行 閒’かん)に草(そう)を作(な)し
晴窗細乳戲分茶  晴窓 細乳 戯れに茶を分かつ
素衣莫起風塵嘆  素衣 起こす莫れ 風塵の嘆
猶及清明可到家  猶お晴明に及んで家に到る可(ベ)けん

  陸游

 

 

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2019年8月 9日 (金)

あれこれ4

226 詭弁のジョーク術

    

    (書名) 詭弁のジョーク術
         賢人たちの実例集
      (著者)  三浦 竜
    (出版者) KKベストセラーズ"
      (形状)   文庫(ワニ文庫)
      (頁数)    239
      (出版年) 1991/02/05

・「説得、弁解、反論に役立つ――詭弁のジョーク術」という長いタイトルで、さらに賢人たちの実例集」というサブタイトルがついている。


・一番最初の小見出しが「ドゴールは遅刻常習の大臣をどう叱ったか」で、閣議に遅刻した言い訳をする大臣にドゴールは「おやめなさい。あなたが閣議に間に合うか、遅れるかは、まったくどうでもいいことなんですから」と言った、と書いてある。
 これはジョークじゃなくて単なる叱責のような気もするが、有名人のこんなエピソードがとことどころに書いてあって、説得や弁解などに役立つという構成になっているが、もともとがジョークの本なので、そんな役には立ちそうもない。

・『赤壁賦(せきへきのふ)』で有名な中国の北宋の詩人蘇軾(そしょく)(蘇東坡(そとうば))のところに、ある日、男がやってきて自作の詩の批評を乞うた。男が詩を読み終わると、蘇軾は一言、
「100点!」
 これに喜んだ男がよせばいいのに100点の理由を聞くと、蘇軾は平然と答えた。
「キミの声が70点で、残りの30点がキミの詩だよ」(p60)

・あるとき、フランスの作家デュマ(小デュマ)のところに、戯曲を2本持参して批評を乞いにきた劇作家がいた。
 デュマが、その中の1本を受け取ってさっと読むと、こう言った。
「もう一つの方がいいね」
「え? でも、こっちはまだお読みになってないじゃありませんか」
「いや、これよりひどい作品はないはずだよ」(p61)

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2019年3月 9日 (土)

勝負に生きる李白

漢詩のなぞなぞ21  勝負に生きる李白
 李白が大酒飲みだったことは有名ですが、それに加えて勝負事も好きだったことは、あまり知られていません。
  博打にのめり込んでいた頃、いくら負けが込んでも、もう一回ツキがまわってきさえすれば! という勝負哲学を詠んだ有名な句があります。さてなんという句でしょう?

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答 丁半、いっぺんのツキ!

 この詩のもとの題は「四か五か?」と言うそうです。

 子夜呉歌   李白

長安一片月   長安一片の月Photo
萬戸擣衣声   萬戸衣を擣(う)つの聲
秋風吹不尽   秋風吹いて尽きず
総是玉関情   総て是れ玉関の情
何日平胡虜   何れの日にか胡虜を平らげて
良人罷遠征   良人遠征を罷めん

 

 

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2019年2月24日 (日)

嗚呼稀勢の里

漢詩のなぞなぞ 20  嗚呼稀勢の里
 
 平成31年(2019)初場所、初日から三連敗した稀勢の里は、翌四日目の朝、親方に引退を申し出ました。稀勢の里は、決心するまでの間、李白の詩の一節を、何度も何度もつぶやいていました。さて、何とつぶやいていたでしょう?
 

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答 一敗、一敗、復た一敗(一杯、一杯、復一杯)

 

山中與幽人對酌    山中にて幽人と対酌す 李白

 兩人對酌山花開  両人対酌して山花開く
一杯一杯復一杯  一杯一杯復た一杯
我醉欲眠卿且去  我酔うて眠らんと欲す卿(きみ)且(しばら)く去れ
明朝有意抱琴來  明朝意あらば琴を抱いて来たれ

 李白は酒飲みで、杜甫から「李白一斗詩百篇」と歌われたほどでした。江戸川柳には、これを受けて「李太白一合宛に詩をつくり」という九があります。(太白は字(あざな)で、一斗で百なら一合でひとつできるという計算です。) 

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2019年2月20日 (水)

来るものは拒まず

漢詩のなぞなぞ19 来るものは拒まず

 有名な漢詩人になると、あちこちから詩を書いてくれ、書を書いてくれと頼まれます。しかしさすがにプライドの高い人が多くて、そう簡単には引き受けてくれませんでした。いくら大金を積まれても、気分が乗らないと絶対書かないという人もいたそうです。
 そんな中で、どんなに少額でもとにかくお礼さえすれば、気軽に引き受けてくれるという詩人がいました。さて、誰でしょう?

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答 謝霊運 (しゃれい、うん!)

 謝霊運というのは南朝の宋の大貴族の出身で、金持ちのわがまま坊ちゃん育ち、激しやすい人だったそうです。不満が多く、常識はずれの行動をして、最後は死刑にされたといいますから、お礼さえすればなんでも「うん!」と聞いてくれたというのは、ひょっとすると間違いかもしれません。
 山水詩の元祖のような人で、山登り用の下駄を発明したという話もあります。
 こちらの話は本当のようで、李白の詩にも「謝公屐(しゃこうげき)」を履いて山に登るという場面があります。「謝公屐」を中国の百度百科でひくと、下記のように、書いてあります。
 謝霊運(谢灵运)が登山のときに履いた木靴の一種で、底に二つの歯があって、上りのときには前の歯をとり、下りのときには後ろの歯をとる、ということです。

谢公屐,汉语词语,读音为xiè gōng jī,指谢灵运(385~433)登山时穿的一种木鞋。鞋底安有两个木齿,上山去其前齿,下山去其后齿,便于走山路。

 

 

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2019年2月16日 (土)

漢詩アイドル

漢詩のなぞなぞ18 漢詩アイドル

  わたしの若い頃とは違って、いつのまにか「アイドル」という言葉は、若い女の子たちが歌って踊るグループのことになってしまいました。よくは知りませんが、AKB48とか乃木坂46とか、地名にメンバーの人数をくっつけた名前をつけるのが定番になっているようです。

 そして、これが当たれば地域おこしにもなるというので、あちこちでいろんなアイドルグループが作られているとも聞きます。
 横浜では、なんと漢詩の朗詠をやるという新しいアイドルグループができました。人数は10人で、東横線沿線が活動拠点になっています。
 さて、このアイドルグループ、名前はなんというでしょう?
 

 

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答  白楽10 (はくらくテン!)

 (注:ローカルネタですみません。横浜の方はご存知かと思いますが、東横線に「白楽」という駅が あります。普通しか止まりませんが、神奈川大学があったりして、そこそこ賑やかな駅です。)

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                  白楽天
 

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2019年2月 5日 (火)

長生きするなら

 漢詩のなぞなぞ17 長生きするなら

 前に漢詩集にはいろんなご利益があることを紹介しました。(冬山登山のお守りご利益
 今回もご利益の話です。この人の詩を読むと十年長生きできると言われている漢詩人がいます。さて誰でしょう?

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答 陶淵明

 十(とお)寿命が延びる=延命できると言われています。「十歳長生き陶淵明」と覚えてください。

 久しぶりのなぞなぞ。やっぱりダジャレでした。

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2019年1月 5日 (土)

謹賀新年2019

あけましておめでとうございます。

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 に関する熟語といえば「突猛進」と決まっていて、この他にはほとんどありません。

中国では「は豚のことで、イノシシは「野猪」というそうです。そういえば西遊記の八戒はブタでした。テレビドラマ「相棒」でも、中国産「肉」をイノシシ肉だと勘違いしていたことが謎解きのきっかけになるという話がありました。

だから中国では今年はブタ年です。ある年の中国人は、「ブタ年生まれだ」と言うのが気まずかったが、「日本に来たら、「イノシシ」と言い換えられて、しかも「突猛進」のように良いイメージで受け止められるので、本当にラッキーな気分になった。」と書いています。

わたしも年ですが、もう突の元気はありません。昔『肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ』という言葉がありました。ソクラテスにはなれませんが、せめて肥った豚にはならないようにしたいと思っています。

今年もどうぞよろしくお願いします。

2019.1.1 店主敬白

 

 

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2018年7月16日 (月)

古着の主2

 漢詩のなぞなぞ16 古着の主2

 古着の主は?で紹介した怪しげな北京の骨董店に、今度は日本人が訪れました。そうしたら店主はまたボロボロの古着を出して、やはり唐の有名な詩人が着ていたズボンだと言います。
 そんなものがあるとは信じられない、いったい誰のズボンだというのか、日本人が聞くと、店主は、一度はいてみろ、そうすればすぐわかる、と言います。
 そこで試しにはいてみると、なかなか感じがいい。いったい誰のズボンだと言うのか? さてここで店主はなんと答えたでしょう?

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答 このズボンはとてもハッキョイ(白居易)! 。

 これはわたしのアイデアではなく、友人が古着の主は?につけてくれたコメントを少し書きなおしたものです。
 コメントをもらったときは、漢詩人相撲大会のオチとほとんど同じなのでボツ! と思っていましたが、わたしの他のネタも大同小異ではあるので、あらためて載せておくことにしました。コメントどうもありがとうございました。

 漢詩のなぞなぞはこれで本当におしまいです。ブログも、また何か思いつくまで、ちょっと休みにします。

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2018年7月12日 (木)

李白の修行

漢詩のなぞなぞ15 李白の修行

 李白が世に出る=官吏になるためには、1 科挙に合格する 2 有力者に知遇を得て裏口から引き上げてもらう 3 道士として名をあげて天子に直接近づく、の3つの方法があり、李白は若い頃、文学だけでなく道士の修行もやっていました。
 その修行中、家々をまわって銭や米の喜捨を受ける行をやって、八十八か所巡りどころではない、膨大な数をまわりました。それでもなかなか自分を売り出すことはできず、思わずつぶやいた句があり、それは後の有名な詩にも影響しています。さてどんなことをつぶやいたのでしょう。

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答 托鉢三千回 売れぬによりて斯くの如く長し。

 このとき「芸術は托鉢だ!」と言ったという話もありますが、さだかではありません。

 

秋浦歌   李白

白髪三千丈   白髪三千丈
縁愁似箇長   愁に縁りて箇(かく)の似(ごと)く長し
不知明鏡裏   知らず明鏡の裏(うち)
何処得秋霜   何れの処にか秋霜を得たる

 

 14回で漢詩のなぞなぞは終わったつもりでしたが、1回おまけです。

 

 


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