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2007年9月11日 (火)

本が好き、悪口聞くのはもっと好き

■ インターネット古本屋なむや文庫 店主 窮居堂のブログです ■

 どんな本が好きか書いてみようかと思って、まず浮かんだのが『本が好き、悪口言うのはもっと好き』という高島俊男のエッセイ集の題名。
 高島俊男は、ベストセラー『漢字と日本人』(文春新書)の著者で、週刊文春に連載していたエッセイ『お言葉ですが…』のシリーズは11巻まで出ています。(この連載は昨年打ち切りになってしまったのですが、草思社のWeb上で「新・お言葉ですが…」http://web.soshisha.com/archives/word/index.php がはじまったのを知って、やれうれしやと思ったら、現在は「筆者現在心神状態甚だ不振につき、この連載しばらくお休みさせていただきます。」とのこと。残念。)
 大新聞、大出版社、大学教授等々、世の権威を物ともせず(というか世の権威を中心に)、典拠や参考文献を明らかにして、用字用語の間違いを、辛辣かつ徹底的に叩くところが大好きです。文章はわかりやすいし、ユーモラスでもあり、「おもしろくてためになる」とおすすめできます。
 日本では、目下の者を名前で呼ぶことはあっても、目上の人を名前で呼ぶことはけっしてなかった、という話では、NHKの大河ドラマ「吉宗」の予告編で、吉宗自身が「この吉宗が…」と怒鳴っていたが、将軍が臣下の者に対して自分の名前など言うものか、
「例えば河野洋平外務大臣が部下の役人に「洋平が言いつけた通りになぜしないのだ!」と言うものかどうか、考えたらわかりそうなものだ。」
と書いています。(『お言葉ですが…』「美智子さま雅子さま」、文春文庫)
 これには思い切り笑いました。この頃、なにかで河野外務大臣が週刊誌の話題になっていたのでしょうが、あの役者のような顔で「この洋平が…」と言っているシーンを想像してしまいました。

 世の権威を辛辣にやっつけるということでは、谷沢永一や『風の書評』の百目鬼恭三郎も好きでした。本の中でも、実証を積み重ねながら、権威をじわじわやっつけていくこういう傾向の本を読むのが痛快、ということになります。
 しかしこれには、世の権威をやっかんでいるだけじゃないのか、自分がなんの権威にもなれなかったことの裏返しじゃないのか、という声も自分の中から聞こえてきます。

 まあでも、おもしろいものはおもしろい。高島俊男の本は読み出したらやめられません。本が好き、悪口聞くのはもっと好き…

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