« 「日本教科書大系・往来編」七巻 | トップページ | 本のジョーク 7 »

2007年12月 8日 (土)

『ドルリイ・レーン最後の事件』

 なむや文庫の12月の本棚は、「古本の出てくる推理小説」です。

Tsukihon0712_2

 ジョン・ダニング  『死の蔵書』(ハヤカワ文庫)
             『幻の特装本』(ハヤカワ文庫)
 エラリイ・クイーン 『ドルリイ・レーン最後の事件』(ハヤカワ文庫)
 紀田順一郎    『古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫)
              『鹿の幻影』(創元推理文庫)
              『第三閲覧室』(創元推理文庫)
              『古書収集十番勝負』(創元推理文庫)
 新谷 識      『ヴェルレーヌ詩集殺人事件』(中公文庫)
 もっとあると思っていたけれど、とりあえず出てきたのはこれだけでした。
 これではちょっと寂しいので、推理小説とは言い難いけれど
 喜国雅彦     『本棚探偵の回想』(双葉社)
              『本棚探偵の冒険』(双葉文庫)
も入れておきました。他にも見つかったらリストに追加したいと思っています。

 このうちエラリイ・クイーン『ドルリイ・レーン最後の事件』は、読んだのが四十年も前。中身をまったく覚えていないので、これを機に読み直してみました。 

 なるほどシェイクスピアの稀覯本が出てくるのだったのか、と読んでいくと、どうも翻訳が古い。この本、1996年の発行で宇野利泰訳、カバーには「改訳決定版」とうたってあるけれど、もともとの訳はひょっとしたら戦前か、戦後すぐくらいではないでしょうか。

 若い男と若い女の会話で
「ぼくの一身上の伝記なんかより、カクテルのほうがいい。この店のジョージは、ぼくの好みを心得ているのでさ。」(p109)
「要するに、きわめて不愉快な女なんでさ」(p117)
と、語尾が「何々でさ」となると、若い研究者と言うより、捕物帖の岡っ引きの会話のような気がしてきます。

 こういう時代臭も古い本を読む楽しみのひとつではあります。「紙切りナイフ」というのはペーパーナイフのことでしょうし、こんなところもありました。
「わたしが騒ぎ出すと、このロウ青年も姿を見せたが、その格好たるや、ビーヴィデイ(男子用下着の商品名)ひとつなのだ」(P161)
 BVDに注釈がついています。なるほど今なら「あいつはあわててBVDひとつで飛び出してきた」でも通じますが、昔は大半の読者にはなんのことやらわからなかったことでしょう。四十年前に読んだのは角川文庫の田村隆一訳だったと思いますが、ここのところはどう訳してあったのでしょうか。

追記(09/11/24)
  角川文庫の田村隆一訳『最後の悲劇』(1964)が見つかったので、上記個所の訳文を引いておきます。

p109→「そんな話より、カクテルのほうがいいですよ。この店のジョージが、ぼくのことはよく知ってるし、たとえ知らなくたってかわりはない。」(p88)

p117→「なにしろ不愉快な女ですよ」(p94)

P161→「このロウ君もおりてきましたっけが、その格好たるや、ウッフッフ! 下着のままでしたよ」

Photo
角川文庫『最後の悲劇』昭和58年29版

|

« 「日本教科書大系・往来編」七巻 | トップページ | 本のジョーク 7 »

古本の出てくる推理小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ドルリイ・レーン最後の事件』:

« 「日本教科書大系・往来編」七巻 | トップページ | 本のジョーク 7 »