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2007年12月 7日 (金)

「日本教科書大系・往来編」七巻

 往来物倶楽部で教えてもらった「日本教科書大系・往来編」七巻を、図書館から借りてきました。この教科書大系というのは、往来篇15巻、往来篇別巻が2巻、近代編が27巻の全44巻、1冊600ページ前後、古往来から近代の小学校教科書まで、各種の教科書を収録して、それに解説・解題がついているという壮大なものです。大学や図書館でもないととても買えません。
 往来篇七巻にはたしかに『小野篁歌字尽』が活字になって載っています。三系統の刊本が出ているとのことでしたが、もう一つ『訓蒙夷曲歌字尽』をあわせて四種類あります。変体仮名を勉強しなくても読める!

 最初の本を見てみましょう。おおむね一行に五つくらいの漢字があって、一二六行、六六四字が出てきます。

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椿 榎 楸 柊 桐
春つばき 夏はゑのきに 秋ひさぎ 冬はひらぎ 同(おなじく)はきり

栢 柏 松 杦 檜
百はかや 白きはかしわ 公(きみ)はまつ 久しきはすぎ 會(あふ)は
ひのきよ

柘 榴 桃 李 杏
石留(とむる)ざくろなり 兆(てう)はもも 木に子口(こくち)すもも
からもも

柳 樽 柿 梔 花
卯(う)はやなぎ 尊(たっとき)はたる 市(いち)はかき 木に巵(さ
かずき)はくちなしのはな
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 このように、木偏の漢字から始まっていきます。しかしこれだけ見ただけでも、当用漢字にはなさそうな字や、今は使われていない字や読み方があります。
 わたしは楸(ひさぎ)という木を知りません。杦は杉と書きたいし、杏(あんず)と「からもも」が同じ物かどうかもわかりません。それに、梔(くちなし)を覚えるために、まず「巵」をさかずきと読むことを覚えなければなりません。
 さらに、中にはこんな字がほんとにあるのかよ、と言いたくなるものもあります。木を三つ書いたら森、日を三つ書いて晶(ひかり)はわかります。しかし同じように、火を三つ書いて「ひばな」、水を三つ書いて「ふかし」と読むというのです。往来物倶楽部に画像付きで出ていますからごらんください。
 そんなわけで、そのまま「声に出して覚える漢字」として現在使うわけにはいかなそうですが、使えそうなのや、おもしろそうなのをいくつかひろってみました。なんか久しぶりに本題の話になりました。

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休 伏 伸 任 件
木はやすむ 犬はふすなり 申(さる)のぶる 壬(みずのえ)まかす
牛はくだんよ

錢 餞 淺 賤 棧
金はぜに 食(じき)ははなむけ 水あさし 貝はいやしき 木こそかけはし

時 侍 痔 峙(そばだつ) 待
日はときに 人はさふらひ 病はじ 山はそばだつ ■(たたずむ)はまつ
(注:■=「ぎょうにんべん」を書いて、「たたずむ」と読む)

都 鄙 郡 卻(しりぞく) 邪
者みやこ ■(ひな)いなかなり 君こほり 谷はしりぞく 牙はよこしま
(注:■=鄙の左のへんを書いて「ひな」と読む)

慕 募 暮 蟇 墓 幕
水したふ 力はつのる 日はくるる 虫ひきがへる 土(と)はか 巾(き
ん)まく
(注:「慕」の字の下には、しっかり「水」の字が入っています)

申 牛 甲 午 戌 戊
申(さる)牛(うし)は いづるにいでぬ 甲(きのへ)午(むま)
戌(いぬ)にてんあり なきは戊(つちのへ)

巳 己 已 巳
巳(すでに)かみ 己(おのれ)はしもに つきにけり
已(み)はみなはなれ 巳(つち)はみなつく
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 巳己已巳は、やっぱり巳(い)己(こ)已(み)巳(き)と読みがながついています。 以前、読んでもらった「巳(すで)にうえ、己(おのれ)はしたにつきにけり、己(み)はみなはなれ、巳(つち)はみなつく。」とは、「かみしも」「うえした」の相違はありますが、後は同じで、巳を「すで」、「己」を「ミ」、4番目の「巳」を「ツチ」と読んでいます。この項は、もともといい加減に作ってあったとみえます。

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