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2008年1月19日 (土)

ハリー・ポッターと「空白の一日」

 この歳で「ハリー・ポッター」はちょっと恥ずかしいけれど、英語の勉強に読んでいた最終巻”HARRY POTTER and the Deathly Hallows”(『ハリー・ポッターと死の秘宝』)を昨年末ようやく読み終えました。7月発売と同時に買ったのに、年を越してしまいそうになったので、わからないところはがんがん飛ばして、年内になんとか読みきることができました。 
 まだ邦訳刊行前なので、話の内容を詳しくは書けませんが、第1巻からの登場人物や登場妖怪変化があちこちに出てきて、「あ、こんなお化けがいたな」と思い出したり、あれはこうなる伏線だったのかと唸ってしまうところがあれこれあって、楽しく読めました。(大勢の登場人物が次々出てきて勢揃い、最後の大決戦となるところで、その昔盆暮れにやっていた、東映のオールスター映画を思い出したというのは、われながらいかにも古い。)最後の対決のあたりは感動的でもありました。
 だからこの本を高く評価しているのですが、ちょっとひっかかったところがあるので、少しネタバレになりますが、そのことについて書きます。

 ハリーとロン、ハーマイオニの三人は、ゴブリン(小鬼)の守るグリンゴッツの金庫への潜入を企て、ゴブリンのグリップフックに助けを求めます。グリップフックは、ハリーの持っている剣を見返りにくれるなら、と条件を出してきました。ところがこの剣は、潜入後どうしても必要な物だったのです。
 さてジレンマに陥ったハリーが考えついた回答は、なんと
「助けてくれたら剣はあげると回答するが、いつあげるかは決して言わない」
というものでした。
 なるほど欧米人の感覚はこんなものなのか、ちょっと驚きました。契約の隙間、不備をつく。契約に時期を明記しておかなければ、履行は任意に引き延ばしてもいい。正義の味方のハリー・ポッターですら、こんなことを思いつくのか。
 「オマエにやるとは言ったが、いつやるとは言ってねえだろう。後でちゃんとやるから文句言うな」というのは、よくある「いじめっ子」のせりふじゃありませんか。
 巨人の江川入団契約をめぐる「空白の一日」騒動を思い出したのは、最近、テレビのCMに、トレードされた小林と一緒に出ていたからでしょう。
 あのとき日本では「空白の一日」はけしからんというのが一般の風潮でしたけれど、これが欧米であれば、協約上そう解釈できるならそのまま一件落着、「空白の一日」を発見した奴は特別ボーナスものだ、と言う人もいました。やっぱりそうなんでしょうか。日本人の好きな阿吽の呼吸やら暗黙の了解は、契約に明記された文言の前には(あるいは文言の解釈の前には)太刀打ちできないのでしょうか。 
 ただしハリーのこの対応については、優等生ハーマイオニは反対だし、ハリー自身も心苦しいと思っていることは書いておかなければなりません。契約の隙間をついて騙し討ちをかけるようなやり方がそまま肯定されているわけではありません。他に方法を思いつかず、やむなく、というわけです。
 全体のストーリーの他に、この契約問題はいったいどう決着がつけられるのか、興味津々で読み進めていきました。ところが、残念ながら契約の話は再度蒸し返されることなく、そのまま終末にいたってしまいました。話の展開上ということは当然あるのでしょうが、決着がついていないと思っていたのはわたしだけで、作者にとっては、すでに決着済みの問題だったのでしょうか。

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