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2008年4月15日 (火)

本のジョーク 11

見られぬ話

 作家志望のデニスは、才能よりも野心のほうが大きな学生だった。彼は、創作の教師を訪ねた。
「先生、ぼくは大傑作を書きました」とデニスは言った。「『モーゼの手』っていう題です。忌憚のない批評をひとつお願いします」
 教師は草稿をパラパラッとめくった。それで十分だった。下手な文章、決り文句と使い古された表現が蜿蜒(えんえん)と書き連ねてあるのがすぐにわかった。
「デニス君」と教師は言った。「題を変えたほうがいいと思うな」
「どう変えたらいいでしょう?」
「『神の顔』としたらいいと思う」
「でも、どうしてです?」
「神の顔は誰も見ることができないものだからだよ」
(植松黎編・訳『ポケット・ジョーク 神さま、仏さま』P131)

善は急げ

 神学者のフロマトカ博士は、講演やテーブルスピーチの名手として有名だった。ご本人もそのことを承知していて、ひそかに自負するところもあった。
 ある夕食会で博士は、殿りをつとめ、聴衆の盛大な拍手を浴びた。博士が帰り支度をしていると若い女性が近づいてきた。
「フロマトカ先生」と女はすっかり感心したという口調で言った。「素晴らしいスピーチでしたわ」
「どうもありがとう」と博士は礼儀正しく礼を言った。
「先生のスピーチは出版されるべきですわ」と女は言った。
 できるかぎりの謙遜をこめて博士は答えた。
「まあ、遺稿集なら出るかも知れませんな」
「お願いします。ぜひ」と彼女はにこやかに言った。「早ければ早いほどよろしゅうございますわ、先生」
(植松黎編・訳『ポケット・ジョーク 神さま、仏さま』P30)

祈り

「それから、もひとつお願いいたします」キティは、就寝前のお祈りをしめくくった。「明日、わたしが目がさめたときには、『二都物語』の作者はウィリアム・シェイクスピアになっておりますように」
 それを聞いていた母親がたずねた。
「キティ、『二都物語』の作者は別の人でしょ?」
「だって」キティが答えた。「試験で、そう書いてしまったんだもの」
(植松黎編・訳『ポケット・ジョーク 神さま、仏さま』P121)

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