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2009年8月 2日 (日)

映画『白鯨』

 小説『白鯨』を読んだついでに、DVDで映画『白鯨』をみました。(小説の話は→メルヴィル『白鯨』

Dvds

1956年、アメリカ
監督 ジョン・ヒューストン
脚本 ジョン・ヒューストン、レイ・ブラッドベリ
主な出演者:グレゴリー・ペック、オーソン・ウェルズ

 小説を読んでおぼろげに思い描いていたイメージが、映画では具体的な映像ではっきり示されます。ナンタケットの港町、怪しげな船員宿の中からはじまって、オーソン・ウェルズ演じる牧師が説教するために縄ばしごを登っていく教会とか、捕鯨船の大きさ、船員たちの服装などなど、わたしが思い描いていたのとはだいぶ違いました。
 銛は、陸上競技の槍投げのように、片手で持って何十メートルも飛ばすように想像していましたが、映画では左手で銛を支え右手で端を持って押し出すように投げていて、そんなに遠くまでは飛びません。考えてみれば、あんな重い物を、人力でそうそう遠くまで飛ばせるわけがありません。
 本ではよくわからなかった船上で鯨油をとる作業のシーンや帆綱の貼り具合なども映像を見るとなんとなくわかります。なるほどこれがアメリカ人の思い描く『白鯨』の世界なんだと、納得しました。

 映画を見る前は、話を簡略化して怪物退治の海洋冒険活劇に仕立ててあるのではないかと、勝手に想像していました。読むのが面倒だったあの鯨百科の部分をいちいち映像化することは不可能でしょう。
 見ると、拝火教徒フェダラーの一行を省略するなど、簡略化はしてありますが、オーソン・ウェルズの説教とか、エイハブ船長が恐ろしい顔で難しいことを言ったりして、原作の難解なところもなんとか伝えようとしています。脚本のレイ・ブラッドベリは、この年にはもうSF作家として名を上げていました。アメリカが誇る古典だけに、単なる娯楽作品ではなく「文芸大作」という位置づけで、できるだけ原作の雰囲気を再現しようと作られたということでしょうか。

 しかし、そのおかげで、この映画は興行的には失敗だったそうです。
 わたしはけっこうおもしろく見ました。原作の絵解きを楽しんだ部分が多かったのはたしかですが、白鯨との戦いのシーンなど、よくできていると思いました。

 ウィキペディアには「その後、「ジョーズ」等の海洋パニック映画の原点として再評価された。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%AF%A8)」と書いてあります。なるほど、この映画から面倒なところを全部除いて、純粋な活劇娯楽映画にしたのが『ジョーズ』だというわけか。なんとなく納得。

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