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2010年3月21日 (日)

金門五山桐

 最近、芸能鑑賞の話が多くなっています。
 3月17日(水)は、国立劇場花形歌舞伎「金門五山桐(きんもんごさんのきり)」を見てきました。通常「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」と言われている芝居ですが、「金門五山桐」が原題なのだそうです。
 安永七年(1778)並木五瓶の作で、筋が複雑に入り組んでいて長く、現在では有名な「南禅寺山門の場」だけ独立して演じられることが多いが、今回は筋を圧縮して、五幕九場の通し狂言にまとめたものだそうです。

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 前にも書いたように(傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段)、わたしは「南禅寺山門の場」の石川五右衛門のセリフがお目当てです。

絶景かな、絶景かな。春の宵は値千両とは、小せえ、小せえ。この五右衛門の目からは、値万両、万々両

というやつです。これもギャグやパロディでよく見ました。ドリフターズの加藤茶が得意でした。

 いよいよ本物が見られる期待の場では、幕があいてからも水色の浅葱幕が奥を隠しています。そして浅葱幕がさっと落とされ、色鮮やかな山門と五右衛門の姿があらわれたと思ったら、いきなり「絶景かな…」がはじまってしまい、それがちょっと聞き取りにくかったので、あれれ、と思っているうちにこのセリフは終わってしまいました。歌舞伎初心者ですから仕方ありません。次の機会にはきちんと聞きとるようにしましょう。
 五右衛門の金襴の衣裳、山門のせり上がり、上と下でにらみ合って見得を切る五右衛門と真柴久吉(=豊臣秀吉)、そして散る桜と絢爛豪華な舞台ですが、なんと十五分ほどで終わってしまいます。
 五右衛門と秀吉が立ち回りでもやるのかと思ったら、見得をきっただけでおしまいでした。ともかくきれいなところ、派手なところを見せてやろうという場なのでしょう。その絢爛豪華さには感心しましたが、ちょっとあっけない舞台でした。

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 山門の五右衛門に、白鷹が飛んできて、死ぬ間際に父親が書き残した手紙を届けます。この白鷹は、第二幕で、北宋の徽宗(きそう)皇帝(在位1100~1125年)が描いた名画「白鷹図」の掛け軸から抜け出てきたものでした。
 ちょうど前日の3月16日にテレビの「開運なんでも鑑定団」を見ていたら、この徽宗皇帝の「白鷹図」が出てきました。名品とされているので昔から贋作が多いそうで、出品されたものも贋作でしたが、本物だったら数十億円というお宝だそうです。なるほど歌舞伎にも出てくるほど有名な作品だったのかと、いささか驚きました。

 この芝居にはもうひとつ有名なお宝が出てきます。「千鳥の香炉」です。五右衛門が秀吉の寝所に忍び込んだ時、この香炉の千鳥が鳴きだしたため捕えられたという伝説があり、この芝居でも鳴きだした香炉のために五右衛門が囲まれてしまいます。
 こちらの方は昔から聞いたことがあり、最近ではこんな本でも読みました。

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 細野不二彦『ギャラリーフェイク 24巻』(2002、小学館)の「千鳥香炉」です。
 歌舞伎の「五三桐」を見るところからはじまって、役者の海老蔵のもっていた千鳥香炉を取り返すという話になっています。

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 余談はさておき、今回の芝居は、筋を圧縮したということですが、まだすっきりしないところがあるように感じました。それと泣かせる場面が弱かった。しかし、山門の場や、白鷹が飛んだり、葛籠抜けの宙乗りなど、豪華絢爛、華麗な舞台を十分堪能することができました。

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