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2010年3月16日 (火)

第四回日向ひまわり独演会

 3月13日(土)は第四回日向ひまわり独演会でした。場所は前回と同じ、横浜にぎわい座地下の「のげシャーレ」。

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 女流講談です。余談ですが、最近、女流義太夫が、略して「ジョギ」と言われています。どうも最近の言葉の略しかたや語感には抵抗を感じるものが多い。これでいくと女流講談は「ジョコウ」で、修行中は「女講哀史」になってしまいそうです。

 次第は

 「清水次郎長伝 小政の生い立ち」
 トークショー
 (中入り)
 「大岡政談 万両婿」
  抽選会

 前回(日向ひまわり独演会)と同じ組み立てで、今回もなごやかに進行しました。

 「大岡政談 万両婿」は落語では「小間物屋政談」と言われる話。
 旅に出た行商の小間物屋が、箱根で大店の小間物屋の主人を助けた後、上方をまわっているうちに、小田原で死んだ大店の主人と間違えられて死んだことにされてしまう。江戸へ帰ってみると、女房はすでに他の男と結婚しており、戻る場所がない。
 そこで大岡越前が、主人が死んだ大店の入り婿として裁きをつけ、若くて美人の女房と資産三万両の大店を獲得したという、ちょっとうらやましい、調子のいい話。
 講談と落語はどうちがうのか、ちょっと考えてしまいました。これは懸案事項とします。

 「清水次郎長伝 小政の生い立ち」は、小政が子供のとき、旅の途中の次郎長と知り合い、母親が死んだ後、次郎長を頼って清水へ行くことになるという話。
 親孝行な小政、という設定で、かわいらしく演じられていましたが、子供を集めてバクチをして、その稼ぎで病気の母親を養うというのは、親孝行だと言っていいのかどうか、疑問が残るところです。

 清水次郎長の話は子供の頃から、映画やマンガで親しんできたので、今でも何人もの子分の名前がすぐ思い浮かびます。筆頭にあげられるのが大政・小政。その小政は実際にはどんな男だったのか。

 今川徳三『東海遊侠伝 次郎長一代記』(1983、教育社)という本があります。
 講談や浪曲の元になったという天田五郎(愚庵)の『東海遊侠伝』を現代語に書き改め、解説をつけた、実録清水次郎長伝です。

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 小政については、こう書いてあります。

 小政は遠州浜松の生まれで、十一のとき次郎長の養子になった男である。勇猛で気性が荒く次郎長について賭場を回りながら、しばしば喧嘩沙汰を起こし、名をあげていったが、小柄のうえに政五郎という名であったことから、人呼んで小政といった。(『東海遊侠伝 次郎長一代記』P134)

 さらに著者(今川徳三)の解説ではこうなっています。

小政は天保十四年(一八四三)十二月、遠州浜松の魚屋に生まれ、幼名は冬吉。次郎長の養子になって山本音五郎といい、別に政五郎ともいった。
 次章に述べる江尻追分駕籠屋の石松の敵吉兵衛殺しに、次郎長に従ったときは弱冠十六歳であった。
 五尺にみたぬ小柄だが喧嘩早く強かった。性格がやや凶暴で陰険なため、他の子分とそりが合わず、清水より浜松で暮らす方が多かった。明治七年五月、三十二歳の若さで亡くなった。
 一説に毒殺という。(同書P139)

 流行歌の文句の「粋な小政の…」とは、だいぶ違って、あんまりおつきあいしたくないような人物だったようです。

 もともと『東海遊侠伝』は次郎長からの聞き書きなので、都合の悪いところはぼかされ、次郎長が美化されているということですが、読んでみると、次郎長のやっていることは縄張り争いの喧嘩出入りやイカサマ博打など、ろくなことはありません。それが英雄伝説になってしまったというのも、不思議といえば不思議な話です。
 本としては、子供の頃から親しんだ石松とか吉良の仁吉とかいろいろ出てきて、なるほど実際はこうだったのかと納得した、なかなかおもしろい本でした。
 上の引用の「吉兵衛」が悪役「都鳥の吉兵衛」です。次郎長の仇敵黒駒の勝蔵も当然出てきます。中には「灰神楽の三太郎」のモデルのような話もありました。次郎長はじめ、この頃のヤクザはやたら人を殺していたようですが、いざ出入りとなると恐くなって逃げ出してしまうヤクザもいたようです。
 吉良の仁吉が死んだ高神山(=荒神山)の喧嘩のもとになった神戸(かんべ)の長吉(ながきち)は、伊勢の吉五郎が本来の名前だが、顔が人並みはずれて長いことから長吉と呼ばれていたそうです。でも、こんなことをおもしろがっても、それがどうしたの言われればそれまでですが。

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