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2010年11月21日 (日)

国性爺合戦

 11月16日(火)、国立劇場で「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」を見てきました。
  坂田藤十郎を見たかったというのと、国性爺合戦は鄭成功の話であることくらいしか知らないので、歌舞伎ではどんなストーリーになっているのか知りたかった、というのが今回の動機です。鄭成功は本当は国「姓」爺なのに歌舞伎では国「性」爺になっているのも知りませんでした。近松門左衛門の昔から、台本が史実とは違うので、そのままでは恐れ多いと「性」の字をあてているのだそうです。 

Photo

(四幕七場)
序 幕  大明御殿の場
      肥前国平戸の浦の場
二幕目  千里ヶ竹の場
三幕目  獅子ヶ城楼門の場
四幕目  獅子ヶ城甘輝館の場
       同 紅流しの場
       同 元の甘輝館の場
(出演)
錦祥女(きんしょうじょ) 坂田 藤 十 郎
五常軍甘輝(ごじょうぐんかんき) 中村 梅玉
和藤内(わとうない) 市川 團 十 郎

 史実を確認しているわけではありませんが、この芝居の筋書きは、史実に忠実とはとても思えません。
 錦祥女というのは和藤内鄭成功)の父老一官鄭芝龍)が大陸に残した先妻の娘で、韃靼(=清)の将軍となった甘輝の妻となっています。「抗清復明」のため協力を依頼された甘輝は、妻の錦祥女のために寝返ったと言われては義が立たない、まず妻を殺してからだ、と錦祥女を殺そうとする、というのですが、当時の明・清の将軍がそんなことを考えるものでしょうか。
 さらに錦祥女にとっては継母にあたる老一官の妻が止めに入って、継母と義理の娘がお互いに譲り合って「わたしを殺せ」みたいな話になります。(昔の人たちはここで泣いたのでしょうが、実はわたしはこのあたりのやりとりで寝てしまったので、ここの筋書きにはちょっと確信が持てません。せっかく藤十郎を見に来たのに…)
 そして錦祥女は甘輝に協力させるために自害し、城外へ通ずる掘に自らの血を流すというのが見せ場の「紅(べに)流し」の場面です。どうやって紅を流すのか、本当に水を流すのかなどと事前に考えていましたが、見て、なるほどでした。
 紅が流れるのを見て和藤内は威勢よく城内へ乗り込んでいきますが、これがべらんめえの江戸っ子で、格好も先日見た(七月大歌舞伎)「」の鎌倉権五郎みたいです。
 ここで、平戸生まれの日中混血児なのにどうして、などど考えてはいけないのですね。そんなことはどうでもいい。見得を切ってポーズを決めたらすかさず拍手するようにならないといけません。筋書きは荒唐無稽でも、そこにあらわされた義理人情に泣いて、美しい姿に見とれ、いなせな格好や粋なせりふを楽しむのが歌舞伎のようです。
 若い頃は筋書きを読んだだけで、なんたる時代錯誤と思っていましたが、何度か見るうちにだんだん歌舞伎を楽しむようになってきました。この芝居も、一部寝てしまったものの、華やかな舞台を楽しませてもらいました。

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