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2011年12月 7日 (水)

sp25 ザンクトガレン修道院

(第8日続き) 11/06/15

ザンクトガレン修道院

 ザンクトガレンに着き、駅前のホテルに荷物を置いて一息入れてから街へ出た。

 ザンクトガレン St. Gallen のザンクト St.は英語のセイント saint で、聖ガルスという修道僧が7世紀にここに僧院を建てたのが、町の名の由来だそうだ。

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 今も大聖堂や修道院がある。これが大聖堂。

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 バーゼル、ベルンに続いて三つ目の大聖堂となると、最初は感心して見ていたのに、どこも同じようだなどとえらそうに思うようになってくる。

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 しかし、どこも同じようにたいした建築物で、キリスト教の力の大きさを感じる。

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 そして有名な修道院図書館 Stiftsbibliothek (シュティフツビブリオテーク)がある。中世期文献の蔵書数は世界最大級だそうで、16万冊を超える蔵書のうち、2200冊が写本であり、500冊は1000年以上前のものだという。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%B3%E4%BF%AE%E9%81%93%E9%99%A2

 これがその図書館の入口で、右はチケットである。

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 中は撮影禁止なので、下の写真はここで買った絵葉書。ここが一般に公開されている図書室で、貴重な写本や地球儀などの各種資料が展示されている。書棚の本は勝手に出してみることはできない。

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 大聖堂に置いてあった写本(複製?)と案内書に載っている写本の一頁。わたしが扱っている古本などせいぜい数十年前のもので、こういうものを見せられると、古本をいじっているなどとは、恐れ多くてとても言えない。

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 修道院の図書館に中世の資料というと、どうしてもウンベルト・エーコの『薔薇の名前』(東京創元社、1990)が思い浮かぶ。
 13世紀初めの北イタリアの修道院で、「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が起きる。その謎を解くカギは修道院の迷宮の図書館に隠された一冊の書物にあった…という話である。

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 日本語訳が出て評判になったころ読んだので、もう内容はよく覚えていない。そもそも、中世の神学論争だとか、異端審問の問題だとか、アリストテレスの詩学だとかが複雑にからみあった話なので、ほとんど知識のないわたしにとっては、読みおえたけれどちゃんと理解したとは言い難い本であった。ただ殺人事件とその解明がメインのストーリーになっていたので、それなりに面白く読んだ記憶はある。
 今回、この大部の本を読みなおす気にはなれなかったので、映画の『薔薇の名前』をDVDで見直してみた。主演はショーン・コネリーである。

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 これがすごく面白かった。これは中世という時代の雰囲気を再現しようとした映画なのだ、それもかなり周到に。
 公開当時、怪奇映画じみた容貌の俳優ばかりおおぜい集めたと評判になった。わたしも昔見たときには、その容貌魁偉な俳優たちのつくる異様な雰囲気に圧倒された印象が強かったが、これは中世の人々が、現代のわれわれとは違う思想、違う感性を持って生きていたことをわかりやすく表わすための手段だったのではないか。
 舞台だけを過去に設定して、登場人物は現代人そのままに思考し行動する映画やドラマが多いけれど、この映画ではわれわれに通ずる考え方を持っているのは主人公たち(ショーン・コネリーとその弟子)のみで、他の人々は感覚・思想がまるで違っていることがはっきりわかる。実際に中世の人々がこの映画の登場人物のように考え、感じていたかどうか別にして、ともかく異世界の人々だったことだけはわかる。修道院のセットや小道具も迫力があって、錬金術の時代を彷彿とさせる。
 過去の時代がどのように現代とは異なっていたかを考察するのが歴史というものであろう。この映画は中世の人々のものの考え方や感じ方をなんとか表現しようとした。戦国時代でも室町時代でも現代人がホームドラマをやっているNHKの大河歴史ドラマとは全然違うのである。この映画を見ると、西洋中世へ行きたいとは決して思わないけれど。

08dscf5055 この修道院の建物はきれいで、しかもこんなふうに街中にあるので、映画とはだいぶ印象が違うが、中世にはここも、モントルーで見たシヨン城のような建物だったのではないか。町も今のように大きくはなく、ここまで他の建物がせまっていることもなかっただろう。 

 

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