« 6月の南無谷 | トップページ | J39 福沢諭吉の開口笑話2 »

2012年6月29日 (金)

東京電力株主総会

 6月27日(水)東京電力株主総会に行ってきた。
 場所は国立代々木競技場第一体育館。高校二年のとき、今は亡い義兄に連れられてこの向こうの第二体育館東京オリンピックのバスケットボールを見に来たことを思い出した。後でそちらも見に行こうと思ったのだが、総会は朝十時から午後三時半までぶっとおし五時間半の長丁場で、見ていただけで疲れてしまい、寄らずに帰った。 
 

Dscf6705
 上の写真右手の門へ至るまでに、いろんなチラシをもらった。ちょっと毛色の変わったものもあるが、すべて原発反対のものである。

Dscf6708

 この奥の体育館入り口では手荷物検査もあった。

Dscf6706

Photo_2 会場内は撮影禁止になっていた。
  総会の様子はテレビや新聞で報道された。左は朝日新聞の6月28日朝刊社会面。(第1面は全国各電力会社株主総会の総括記事だった)
 見出しには「厚い壁 拍手と怒号」とあり、リード文には「会社側に理解を示す株主と、原発事故の責任追及や「脱原発」を主張する株主らの意見が交錯するなか、経営陣はにべもない答弁を繰り返した。」とある。
 個人的な感想としては、思ったよりおだやかな総会だったということ。たしかに怒号もあったが、全体としては会社側に立つ人の方が多く、会社側の提案やむなしという感じだったように見受けられた。テレビのワイドショーなどでは一方的な東電攻撃ばかりだが、東電擁護の発言をいくつも聞けたのは、なんといっても株主総会だからである。

 総会の経過・質疑についてはサンケイビズが「東京電力株主総会ライブ」として詳しく伝えている。最近ネットで検索して朝日新聞や日本経済新聞の頁へ行くと「以下詳しくは有料頁で…」となっていて、やる気をそぐことおびただしいが、これはいい。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120627/bsd1206271053008-n1.htm

 東京電力病院についてこんなやりとりがあった。

 東京都猪瀬副知事:新宿区信濃町にある東電病院は、敷地1700坪、7階建て、122億円の資産価値があるが、資産処分の対象になっていない。これは東電の関係者しかみない職域病院で、一般市民はこの病院を使えない。しかも病床数113なのに都で調査したら20しか使われていない。なぜ処分対象としないのか。
 会社の回答:一般開放できないか検討したが、都から、新宿区には大きな病院がいくつかあるので難しいといわれている。また医師を福島の現地へ派遣したりしている。
 猪瀬副知事:都が立ち入り検査をして実態を確認している。福島には土日に1人行っているだけ。ここで持っている病床数のため同区内の他の病院を拡張できないということもある。東電の幹部のための病院だ。東電は全然反省していない。

 猪瀬副知事の反論には「挑戦的な回答だから言うけど」という前置きがついていた。
 このうち都から病院を一般開放するのは難しいと言われた件については、MSN産経ニュースに続報があって、都は東電からの相談を受け、経営形態を株式会社ではなく医療法人にすれば一般開放は可能だと回答したと反論している。http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120628/crm12062822150028-n1.htm
 しかし病床数の問題については、職域病院であれば基準病床数に算定されず、他の病院の病床数を圧迫することはない、猪瀬副知事が間違っているとの反論もネットにある。http://d.hatena.ne.jp/kyoumoe/20120628/1340858236

 また猪瀬副知事は、東電が生まれ変わるためには勝俣会長がきれいに身を引くことが重要ではないか。会長退任後「社友」になることになっているが、これもやめるべきではないかとも指摘した。これについてサンケイビズでは、「東電新会長・社長会見 「社友」廃止」と報じている。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120629/bsc1206290501004-n1.htm

 基準病床数の件の間違いはあっても、病院の今後は検討するという回答を得ているし、ここは猪瀬副知事の勝ちというところだ。
 東京都からの提案を含め会社以外からの総会への提案はすべて否決されてはいるが、これは事前に会社が大株主を取りまとめるなかで決まっていたことで、この結果だけを云々してもしかたがない。総会で都の提案などいろんな意見が交わされ、それが広く報道されることにより、会社も出された意見をそれなりに踏まえていかなければならないことを評価すべきであろう。
 昔読んだ梶山季之清水一行などの企業小説では、株主総会というのは総会屋の手によってあっという間に会社の筋書きどおりに「シャンシャン」と手締めで終わるものか、利権をめぐって総会屋どうしが争う場だった。日本の株主総会は進歩したと言っていい。

 答弁を聞いていると、勝俣会長はなかなかの人物で、強い言葉で怒られてもそしられても動じない。言葉尻を捕まえられるようなこともなく、しぶとく応答しつつ、休憩なしの五時間半を乗り切った。なるほど日本有数の大企業のトップに長年君臨するだけのことはある、テレビでよく見かける民主党の政治家たちではとても勝てないだろうと思わせた。

 質疑のうち半分くらいは会社側に理解をしめす立場だった。その発言のポイントは、国の定めた安全基準をちゃんと守っていた、想定外の天災である、当時の政府は最悪のリーダーで対応が悪かった等々、「事故の責任は国にあるから、訴訟を起こして賠償はすべて国に負ってもらうべきだ」というもの。
 昔から資産として東電の株を持っていて相当の損害を受けた人が多いようだ。一株二千円から三千円くらいしていたものが今では百五十円なので、ほとんど5%近くまで縮小してしまったわけだ。だからなんとか国に責任を持っていきたいというのはわからないでもない。しかしこれらの発言には、いわゆる「原子力ムラ」と言われるところで東電の果たした役割や責任についての言及はいっさいない。
 わたしは昔からの株主ではなく、今回たまたま少額を買ったら出席通知が来たので参加してみただけなので、えらそうに言うのはちょっと気が引けるが、株主としてはここを素通りしてはいけないのではないか。企業として再生するためには、従業員も経営者も政府もきちんと反省すべき所は反省して改めなければならない。責任はなかったと言うばかりでは何も変わらないし、前へは進めない。

 従業員の報酬に対しても批判が続く中、士気をいかに維持していくかが課題であるという話もあった。
 東電の職員に何人か知り合いがいる。経営責任のあるえらい人たちではなく、原子力にも関係していない、今回の事故でひたすら割をくっている人ばかりである。事故後会って話したことはないが、その人たちにとって今の対応がいいのかどうか。世間から糾弾されるばかりで将来が見通せない会社より、一時的に今より待遇が悪くなっても、会社をきちんと潰して、賠償や原子力を切り離した新しい会社で働く方がよかったのではないか、そんな気がした。
 

|

« 6月の南無谷 | トップページ | J39 福沢諭吉の開口笑話2 »

なむや文庫雑録」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東京電力株主総会:

« 6月の南無谷 | トップページ | J39 福沢諭吉の開口笑話2 »