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2012年7月 2日 (月)

J39 福沢諭吉の開口笑話2

 『福沢諭吉の開口笑話』からの続き。
 最初が英文、次が明治時代の訳、その次が現代語訳なのは前と同じ。
 

A NEW COOK-BOOK WANTED.

Wife―I've got a new cook-book.
Husband―Confound your cook-book. They are all alike. They tell you to take so much of this and so much of that, but they donn't tell how to get the money to buy the ingredients.

料理指南書の新作を望む

 私は子料理指南書の新作を買てきましたよ
 お前の持て居る料理の書(ほん)は悉皆(みんな)役に立たないよ何れもゝゝ同じことが書いてあるンだ何を幾何(いくら)、何を幾何交ぜろと書てあるけれど扨(さて)其交物(そのまぜもの)を買ふ銭を如何して儲けると云ふことは一切書てないワ

奥のその奥

 私、新しい料理の本、買ってきたのよ。
 ちぇっ! 料理の本! みんなおんなじだ。あれを何グラム、これを何グラムなんてことは書いちゃいるが、肝腎のその材料を買ってくる元手はどうして作るか、何も書いちゃいねえ。
(p266~267)

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"I see no good in his books." "I read them with considerable profit to myself." "You did?" "Yes. I was paid twenty five dollars for correcting the proof-sheets." ――Harper's Magazine.

私はあの人の著書を読んで何にも役に立つ所を見ませんでした
私は彼書(あれ)を読んで大(おほい)に利益を得ました
へゝーあなたは何か益(とく)した所がありましたか
左様、私は彼の書物(ほん)の校合をして二十五円儲けました

公正な得

 あの人の本を読んだけど、無駄だったね。
 私は読んでかなりの得を致しました。
 へえ、得をしたんですか。
 ええ、二十五ドルも。あの本の校正をしたもんですから。
(P274~275)

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AN EASY SOLUTION

A man who wanted to learn what professional he would have his son enter, put him in a room with a Bible, an apple, and a dollar bill. If he found him, when he returned,reading the Bible, he would make a clergyman out of him ; if eating the apple, a farmer, and if interested in the dollar bill, a banker. When he did return, he found the boy sitting on the Bible, with the dollar bill in his pocket, and the apple almost devoured. He made a politician of him.

容易なる決断

或人が其子を教育するに如何なる方向に導いて然る可きや其好む所、長する所を知るこそ要用なれとて一室に聖書(バイブル)と林檎と一円札とを置き室内に子を鎖じ込めて外出したるは留守中に其子が聖書を読みつゝあらんか以て僧と為す可し、林檎を食いつゝあらんか以て農と為す可し、若し又一円札を弄びつゝあらんか以て銀行者たらしむ可しと思案を定めたることなり扨親父がいよゝゝ帰り来りて室の戸を開き見れば彼の童子は聖書を尻の下に敷いて一円札を懐に捻込み林檎は殆んど食ひ尽してありければ是れは屈強なりとて政治家に仕込みたりとぞ

賢明な判定

 ある人が息子をどういう職業につかせたらいいか知りたいと思い、部屋に一冊の聖書と一個の林檎と一枚のドル紙幣を置いて、子を閉じ込めた。あとで戻って、もし子供が聖書を読んでたら牧師に、リンゴを食べてたらお百姓に、お札を手にしてたら銀行家にしようという考えであった。さて帰ってみると、息子は聖書を尻に敷き、お札をポケットにしまい込み、リンゴはあらかた平らげてしまっていた。そこでその人は、息子を政治家に仕立てた。
(p317~318)

 最後の「容易なる決断」の落ちは、前に紹介した「22 ユダヤのジョーク」では、「おお神様、この子はカトリックの神父になってしまいそうです」となっていた。

 本に関するジョークはこれだけだが、ついでにもうひとつ紹介しておこう。

YEARS LESS OBJECT THAN MONEY

Mr.Lazarus Goldstein― I love your daughter, and would like tomarry her.
Mr. Isidore Goldfogle― You may have her, my poy. Mit Rebecca, who is 18 years old, I give $5.000 ; mit Sarah who is 24, $10,000 ; mit Loweza, who is 30, $25,000. Vicn van do you vant?
Goldstein― Haven't you van about 40?

年齢(とし)より銭

花依団五郎(はなよりだんごろう) 私は貴家(あなた)のお娘子が懇望で御在まして何卒(どうか)御縁談を願ひます。
持丸屋(もちまるや)主人 夫れは御相談を致しませうお梅は十八歳で御在まして五千円やるつもりです、お竹は二十四歳で一万円、お松は三十で二万五千円やる積りですがあなたは何の娘を御所望で御在ます。
団五郎 貴家には四十歳位の御娘子はありませんか

多々ますます弁ず

ゴルトシュタイン氏 僕はお宅のお嬢さんに恋をしました。結婚したいと思うのですが。
ゴルトフォグル氏 いいですよ。レベッカなら十八、持参金として五千ドルやりますな。セアラは二十四、これには一万ドル、三十のラウザには二万五千ドルやるつもりじゃが、このうち誰と結婚したいのだね。
ゴルトシュタイン氏 伺いますが、お宅には四十歳ぐらいのお嬢さんはいらっしゃらないんで?
(P212~213) 

 英文の"poy"とか"Vich van"とかは間違いではなく、ちょっと訛っているところ。
 この落ちはわかりやすい。明治の訳は花依団五郎とか持丸屋とか名前の翻訳もおもしろく、味がある。

Photo これで『開口笑話』からの引用はおしまい。
 わたしが入手した本には見返しに飯沢匡の署名が入っていた。たまたまカバーで隠れていたせいか、価格にプレミアはついておらず、ちょと得した気分だった。

 

 

 

 

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