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2013年11月20日 (水)

J45 ユダヤ笑話集2

 『ユダヤ笑話集』(三浦靭郎訳編、現代教養文庫、1975)からの本のジョーク、続きです。

きたない紙

 小説家がヘルム※の女を女房にした。
 あるとき、書いた原稿を机の上にだしたまま、会議にでかけた。帰ってくるとすぐに、しまった、と思った。机の上が、いつになくきちんと片付いていたのである。彼は女房に聞いた、
 「ねえ、きみがかまどにくべて焼いてしまった紙は、どんな紙だね。」
 「それ、どういうこと」と、女房は答えた、「あなたは、私がきれいな紙を捨ててしまうほど、馬鹿だと思ってらっしゃるの。私が焼いたのは、書いてしまった紙だけよ。」(P111)

※ヘルム:ポーランドの町、ここに住んでいるユダヤ人は、どこか間が抜けていると、ほかの土地のユダヤ人から馬鹿にされていた。

ゲーテのファウスト

 モーリッツが泣きながら言った。
 「先生がぼくをぶったんだよ。」
 「またおまえ、何かやらかしたんだろう。」
 父親はこわい顔をして、たずねた。
 「なんにも。先生が聞いたんだ、ファウストを書いた人はだれかって。だからぼく、ぼくが書いたんじゃありませんて、答えたんだよ。そしたら、ぼくをぶったんだ。」
 父親はふんぜんとして、先生のところへ駆けつけた。
 先生はまだ腹をたてていた。
 「まあ考えてごらんなさい。私はあなたのお子さんに聞いたんですよ、ゲーテのファウストを書いたのは、だれかって。そしたら、厚かましいじゃありませんか、ぼくが書いたんじゃないって、答えたんですよ。」
 父親は、必死になって言った。
 「先生、うちのモーリッツには、悪いところがたくさんあるかもしれません。でも嘘をつくことは――いいえ、それだけは、けっしてしたことがありません。あの子が、ゲーテのファウストは書かなかった、と言ったのなら、絶対に書かなかったんです。また、たといあの子が書いたとしても、どうか分ってやってください。許してやってください。あれはまだ子どもなんですから。」(P126)

※これはJ43 ヒトラー・ジョークで紹介した「『わが闘争』を書いた人」と同じです。

ヨーゼフ・キス 出版記念

 ハンガリーの貴族だったある詩人が詩集をだした。その出版記念に、友人たちが集まって、彼がかつて暮らしに困っていった先祖の土地を、買いもどしてやった。
 それを聞いたユダヤの詩人ヨーゼフ・キスは、友人たちに言った、
 「きみたちは、ぼくの出版記念のときには、ずっと安くあげられるよ。ぼくが親からもらったのは、ステッキ一本だし、それだってまだ持ってるんだからね。」(P247)

 おまけに『続・ユダヤジョーク集』(ザルチア・ラントマン、実業之日本社、1974)からもひとつ拾っておきます。

Photo

太陽

 アイザックが聞いた。
「物の本には、地球は太陽のまわりをまわっていると書いてあるが、どっちみち太陽が動いていないとすれば、ヨシュア様が太陽をとめたといういいつたえは、うそっぱちですね」
 ラビが答えていった。
「ヨシュア様のころ、太陽は動いていたのだ。おとめになって、そのままにされていたものだから、もう動かないでいるんだ」(『続・ユダヤジョーク集』、p27)

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