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2014年1月13日 (月)

『書物狩人』ほか

  最近、前回書いた『ビブリア古書堂の事件手帖』のほかにも「古本の出てくる推理小説」はけっこう出ている。その中からいくつか簡単に紹介しておこう。わたしの趣味とはちょっとずれているうえ、読んでからだいぶ日がたっているものもあるので、こういう本もあるという紹介にとどめる。

書物狩人』 (赤城毅(あかぎ つよし)、講談社ノベルス、2007)

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【カバーの文句】
たかが本――だがそこに書かれたことは時として大企業を破滅に導き、国家を転覆させることもある。錚々(そうそう)たる依頼人の願いをうけ、世に出れば世界を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わずあらゆる手段を用いて入手する「書物狩人(ル・シャスール)」。歴史の闇に隠されてきたその足跡が今初めて語られる! (講談社文庫)

 書物狩人の活躍する舞台は世界中に広がり、扱う本はケネディ暗殺の秘密を秘めた歴史の教科書、闇に葬られた聖書の第五福音書、ナポレオンの毛髪が隠されているという皇帝の署名入りのヴォルテールなど、いかにも秘本らしいのがぞろぞろ出てきて、道具立ては凄いのだが、あっと驚くトリックとか最後のどんでん返しといったミステリーらしいところが弱く、ちょっと残念だった。

書物迷宮』 (赤城毅、講談社文庫、2011)

 Photo【カバーの文句】
世に出れば歴史の真相を覆しかねない本を、合法非合法を問わずあらゆる手段で入手するプロフェッショナル、“書物狩人(ル・シャスール)”。スペイン内戦末期に出版された、ロルカの幻の詩集獲得のためグラナダ地方を訪れたル・シャスールは、依頼人である老婦人を前に、この本に隠された驚くべき秘密を語り出す。シリーズ第二弾!

 これは第2巻で、第6巻まで出ているようだ。作者は軍事史・ドイツ現代史の研究者でもあるそうで、歴史的な蘊蓄は豊富である。しかし、状況を説明するための不自然な会話が多くて、いかにも固い。それにストーリーがやはりちょっと弱いように思う。
 この本の解説で、歴史学者の加藤陽子が「トレヴェニアンに比すべきもの」と書いているが、トレヴェニアンのファンとしては、いくらなんでもほめ過ぎだと言わざるを得ない。 

 

 

蒼林堂古書店へようこそ』(乾くるみ(いぬい――)、徳間文庫、2010)

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【カバーの文句】
 書評家の林雅賀が店長の蒼林堂古書店は、ミステリファンのパラダイス。バツイチの大村龍雄、高校生の柴田五葉、小学校教師の茅原しのぶ―いつもの面々が日曜になるとこの店にやってきて、ささやかな謎解きを楽しんでいく。かたわらには珈琲と猫、至福の十四か月が過ぎたとき…。乾くるみがかつてなく優しい筆致で描くピュアハート・ミステリ。

 日本の新本格派と言われるミステリが話の中心になっている。わたしはそれらの本を読んでおらず、ほとんど知識がないので、いまいち乗れなかった。

 

古書店アゼリアの死体』(若竹七海(わかたけ ななみ)、光文社文庫、2003)

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【カバーの文句】
勤め先は倒産、泊まったホテルは火事、怪しげな新興宗教には追いかけられ…。不幸のどん底にいた相沢真琴は、葉崎市の海岸で溺死体に出合ってしまう。運良く古書店アゼリアの店番にありついた真琴だが、そこにも新たな死体が!事件の陰には、葉崎市の名門・前田家にまつわる秘密があった…。笑いと驚きいっぱいのコージー・ミステリの大傑作。

 カバーにも書いてあるとおり、これは「コージー・ミステリ」というものだそうだ。
 今では女性向きのコメディタッチの推理小説を「コージー・ミステリ」と呼ぶが、もとは、ハードボイルドに対する、日常的で、居心地がいい(cozy)世界に起こるミステリということだったらしい。そういえば「コージーコーナー」というシュークリーム屋があった。
 この本が主に話題にするのは、ロマンス小説――ハーレクインみたいなやつ――だから、これも知識のないわたしにはなかなかついていけない。
 この古書店主のおばあさんは、カバーの絵にあるように、くわえたばこで仕事をしているが、今どきこんなことをしていると、お客さんに本がたばこ臭いと怒られてしまう。この本が出たころはまだよかったんだろうか。

金魚屋古書店』シリーズ(芳﨑せいむ、小学館、イッキコミックス)

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 これはマンガでしかもミステリではないけれど、おまけで入れておく。
 若いころ同時代で読んでいたマンガが、ほとんど古典あつかいされているのがおもしろい。
(この項おわり)

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