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2014年3月

2014年3月31日 (月)

JB05 実日国別ジョーク集2/3

B7 ドイツ・ジョーク集(014)

07

  (書名)    ドイツ・ジョーク集
    (著者)   関楠生 編著
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     238
    (出版年)   1979/03/01
                   (1981/09/20、15版)

・ 東西ドイツ統一(1990)前の本。カバーの折り返しには「まず目につくのは、政治的ジョークの少ないことである。たとえば”ベルリンの壁”に関するものは一つも見当たらない。これをジョークにするには、事態が深刻にすぎるからだろうか。」とある。

 

8 イタリア・ジョーク集(015)

08

  (書名)    イタリア・ジョーク集
    (著者)   大西克寛 編著
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     238
    (出版年)   1979/04/15
                   (1980/11/15、3版)

 

9 スイス・ジョーク集(016)

09

  (書名)    スイス・ジョーク集
    (著者)   中谷和男 編著
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     238
    (出版年)   1979/06/20

 

10 ロシア・ジョーク集(017)

10

  (書名)    ロシア・ジョーク集
    (著者)   原卓也 編著
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     238
    (出版年)   1978/11/20

 

11 東欧ジョーク集(018)

11

  (書名)    東欧・ジョーク集
    (著者)   大森純 訳編
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     230
    (出版年)   1978/04/15

・この本の刊行当時、東欧は、「ソ連ブロック」の国々としてひとくくりにされていた。
 こんなジョークがのっている。

 東ヨーロッパ諸国では、コンパスを持たなくても、東西の方向をすぐに見分けることができる。
 荷物を満載した貨車が走って行く方向が東で、空っぽの貨車が戻って行く方向が西だ。(P31)

 

12 アメリカ・ジョーク集(019)

12

  (書名)    アメリカ・ジョーク集
    (著者)   船戸英夫 訳編
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     240
    (出版年)   1975/08/01
                   (1980/07/01、9版)

・冒頭にアメリカのほら話の登場人物の紹介と、大統領など有名人の言葉が収録されている。

 

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2014年3月30日 (日)

JB04 実日国別ジョーク集1/3

 実業之日本社の国別ジョーク集全17冊。ちょっと多いので、三回に分けて紹介する。題名は「じっぴ・くにべつ」と読んでください。
 最初の『ユダヤ・ジョーク集』が好評だったので、次々と各国別のジョーク集が刊行されたものらしい。
  各国の事情に詳しい人を選者・編者にあて、それぞれ特色のある構成がされている。
 時事ネタで揶揄される政治家の名前などは、今となってはかなり古いけれど、ジョークの構造はかわらない。名前だけ変えて、そのまま現在流布されているものも多い。        

国別ジョーク集一覧(実業之日本社)

 ユダヤ・ジョーク集  1973
 続ユダヤ・ジョーク集  1974
 アラブ・ジョーク集  1978
 イギリス・ジョーク集  1974
 続イギリス・ジョーク集  1979
 フランス・ジョーク集  1976
 ドイツ・ジョーク集  1979
 イタリア・ジョーク集  1979
 スイス・ジョーク集  1979
 ロシア・ジョーク集  1978
 東欧ジョーク集  1978
 アメリカ・ジョーク集  1975
 中国・ジョーク集  1975
 ブラジル・ジョーク集  1980
 スペイン・ジョーク集  1980
 黒人ジョーク集  1980
 ラテンアメリカ・ジョーク集  1981

 表の順番は、最終巻の『ラテンアメリカ・ジョーク集』巻末にあるリストの順。

1 ユダヤ・ジョーク集(008=通し番号、以下同じ)

01

  (書名)    ユダヤ・ジョーク集
    (著者)   ラビ・M・トケイヤー 著/助川明 訳
    (出版者)  実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     224
    (出版年)   1973/11/01
                   (1987/08/20、26版)
         ( )内は確認した現物の刊行日、以下同じ。

・ 松田道弘の『世界のジョーク事典』によれば、ジョークといえばフランス小咄が定番だった時代に新風をもたらした本だという。そう言われれば、今ではユダヤ・ジョークやアメリカン・ジョークがジョーク本の本流になっているような気がする。
・ これに「文庫判のためのジョーク」を加えたものが、加瀬英明訳『ユダヤ・ジョーク集』として、講談社+α文庫から出ている(1994)。

2 続ユダヤ・ジョーク集(009)

02

  (書名)    続・ユダヤジョーク集
    (著者)   ザルチア・ラントマン 編/和田任弘 訳
    (出版者) 実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     215
    (出版年)   1974/06/15
         (1980/09/05、12版)

・ 三笠書房から『ユダヤ最高のジョーク』として、文庫版が出ている。(知的生きかた文庫、1994)

3 アラブ・ジョーク集(010)

03

  (書名)   アラブ・ジョーク集
    (著者)   牟田口義郎 編著/塙治夫 訳
    (出版者) 実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     237
    (出版年)   1978/09/10

・ 「ナセルとサダト」という章がある。この本の刊行当時のエジプト大統領がサダト(1981暗殺される)で、その前がナセル。今の大統領の名前はしらないが、ナセルやサダトは覚えている。

4 イギリス・ジョーク集(011)

04

  (書名)    イギリス・ジョーク集
    (著者)   船戸英夫 訳編
    (出版者) 実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     216
    (出版年)   1974/11/01
         (1977/10/01、7版)

・ 「イギリス紳士のユーモア」の例として、ジョークが紹介されている本も多い。それらはまた別項で紹介したい。

5 続イギリス・ジョーク集(012)

05_2

  (書名)   続イギリス・ジョーク集
    (著者)   船戸英夫 訳編
    (出版者) 実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     238
    (出版年)   1979/09/01
         (1981/07/15、4版)

・ この本にはチャーチルの語録をまとめた章とその他の有名人の語録をまとめた章がある。

6 フランス・ジョーク集 (013)

06

  (書名)    フランス・ジョーク集
    (著者)   磯村尚徳 編著/萩野弘巳 訳
    (出版者) 実業之日本社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     237
    (出版年)   1976/12/10
         (1983/02/25、10版)

・ 編者の磯村尚徳は、NHKのニュースセンター9時のキャスターをつとめた有名人で、後には東京都知事選にも立候補したが、現職の鈴木俊一に敗れた。

 

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2014年3月27日 (木)

『図書館警察』

 さてまた図書館つながりで、スティーヴン・キングの『図書館警察』(文春文庫、1999)である。
 『図書館戦争』『図書館の死体』『図書館警察』と並ぶと、なんだか図書館はずいぶん物騒なところのように見えるが、現実の図書館はけっしてそんなことはない。
 ホラー小説の大家の作品で、これも推理小説ではないけれど、題名が気になって読んだ本だった。
 ”Four Past Midnight”という原題の中篇小説集の一篇で、これは『真夜中四分過ぎ』という意味だそうだ。「図書館警察」の原題は”The Library Policeman”、だから正確には「図書館警察官」だ。
 中編小説といっても、「図書館警察」だけで395頁ある。日本なら十分長編小説と呼ばれる長さだ。この文庫本は、「サン・ドッグ」という一篇が合わせて収録され、696頁もある。他の二篇は『ランゴリアーズ』(文春文庫、1999)という別の本になっている。アメリカの小説は長いのが多い。

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 カバーにはこう書いてある。やっぱりホラー小説だ。

あの図書館には何かがいる。不気味な貼り紙、冷酷な司書、期日に本を返さないと現れる図書館警察。幼い頃の恐怖が甦り、サムの心を侵す。戦え、心の闇を消し去るのだ―恐怖に対決する勇気を謳い、感動を呼ぶ表題作。さらに異界を写すカメラがもたらす破滅を描く「サン・ドッグ」。翻訳者+装幀者による巻末の解説座談会も必読。

 つまり、図書館警察官の仕事は、本の返却期限を過ぎても返さない悪い子どもたちのところへ直接取り立てにやってきて、恐ろしいめにあわせることなのだ。アメリカでは子どもの間に広がっている都市伝説 urban legend のひとつだという。日本の「トイレの花子さん」のようなものか。(ひょっとするとキングが思いついた都市伝説かもしれないという気もするが。)
 借りた物を返さないことへの後ろめたさ、その後の罰に対する子供の不安・恐怖の象徴が図書館警察ということになる。キングはこれをさらに、子どもたちの恐怖を食って生きている化け物がいたというホラー小説に仕立てた。
 子供の頃怪談が苦手だったせいか、怖い夢とか幻想部分とか、どうもイメージがうまく浮かばないところもあった。まあこれがうまく浮かぶようになると怖くて読めなくなってしまうのかも知れない。
 しかしキングは話がうまくて、嘘がうまい。多少ひっかかるところはあっても、読んでいると話に引きずり込まれて、最後まで一気に読まされてしまう。

  図書館ものは、これで一区切りです。

 

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2014年3月24日 (月)

氷がとけると

 ようやくあたたかくなって、今年も春がやってきたようだ。

 小学校の試験で、「氷が溶けると( )になる。」という問題に、「春」になると答えた子供が×をもらったという話が有名なのは、その昔、朝日新聞天声人語に取り上げられたからだろう。1980年のその天声人語

――氷が解けたら何になりますかという問いに、たいていの子は「水になります」と答えた。むろんこれは正しい。ところがひとりだけ「春になる」と答えた子がいた。みなが一斉に同じ方向に考えを向けていた時、その子だけは別の方向へ頭を働かせていたのだ

800210ss_2  朝日新聞1980年2月10日天声人語

 「水になる」以外の答はすべて×になるような画一的な教育は間違っている、これでは個人の発想を大切にする能力が育たないという趣旨だ。
 わたしは「嘘だろ、これはよくあるクイズじゃないか」と思った。子供のころ、雑誌のなぞなぞや笑話の欄が大好きだった。その中に「氷がとけたら春になる」というのは、定番ネタとしてあったような気がする。
 どこの雑誌に載っていたとか実証することはできないけれど、クイズ好きの人なら、ありそうなネタだということはわかってもらえると思う。初めて出されたとしても解くのはそう難しくない、
 それを大新聞がもったいぶって学校教育批判の材料にしている。馬鹿馬鹿しい、この記者はクイズなどにあまり興味がないのだろう。
 学生時代、「タマネギむいたらなにが出る――涙」というなぞなぞが、映画(たしか羽仁進の「初恋・地獄篇」)に出てきて、友人のひとりがひどくおもしろがり、かつ感心していた。ああこいつは子供のころなぞなぞにはあまり興味がなかったんだな、と思ったのを覚えている。冗談方面の基礎教養に欠ける人たちもけっこういるのだ。

 このネタが、1992年の産経新聞の「産経抄」にもそっくり同じ趣旨で使われた。

「氷がとけたら( )になる。( )の中に字を入れなさい」という試験問題で、大多数の子は「水」と書いて正解だったが、一人だけ( )の中に「春」と書いた。この答えは間違っているのか。

920228        産経新聞1992年2月28日産経抄

 これを呉智英(ご・ちえい)が『サルの正義』(双葉文庫、1996、単行本は1993)でこっぴどくやっつけた。

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 新聞社のふりかざす正義は、「朝三暮四」で騙されるサルの正義にすぎない、として、上記のコラムに対しこう書く。

 典型的なサルの正義だ。たかだかコドモの謎々遊びに、何をもっともらしく感心しているのだろう。それこそ「春になると」、毎年、新聞に入試問題批判が登場する。珍問奇問ぞろい、まるでクイズのようだ、しっかりした基礎学力があるかどうかを試すのが試験ではないか、と。サルどもに借問してみたい。「氷がとけたら(春)になる」は、珍問奇問、呆答愚答ではないのか。しっかりした基礎学力とは、「氷がとけたら(水)になる」と解答する力のはずではないのか。(P13)

 しかもこれはすでに朝日新聞に書かれたネタであることを示した。

 この試験問題の話には、まだ続きがある。
 産経抄がその独創性を絶賛した「氷がとけると」の珍問愚答、実は十二年前の朝日新聞にそっくり同じ話がある。一九八〇年二月十日付の朝日新聞、それも同じ “名物コラム”の天声人語に出ているのだ。もちろん、論旨もそっくり同じ、「類型的な考え方」批判、そして独創性の讃美である。「類型的な考え方」がどれほど類型的か、全く気づかない点も、類型的なまでにそっくり同じだ。(P15)

 そして、この問題と答えは本当に実在するのか。いんちきくさく、わざとらしい。いわゆる都市伝説の一種で、サルどもの共同幻想ではないかとも書いた。
 わたしは、呉智英の批判にに共感し、実在するかもしれないが、それは謎々として解いたもので、やっぱり独創性云々とは関係ないだろうと思っていた。

 そうしたら、2010年になって、朝日新聞が天声人語にまたまた書いた。

 氷がとけたら何になる? テストである子が「水になる」ではなく「春になる」と答えたという話は、虚実はおいてほほえましい。早春賦の恩師ならマルをもらえるような気がする。春よ来い。

100204

     朝日新聞2010年2月2日天声人語

 そして今度は、その後実際に「春」と書いて×をもらった読者から手紙が来たという。18日後の2月20日の天声人語にはこうある。

テストである子が「水になる」ではなく「春になる」と答えたという話を、先ごろの小欄で書いた。伝聞だったので「虚実はおいて」と断ったら、子ども時代を札幌で過ごしたという60代の女性から便りをいただいた▼セピア色をした「りかのてすと」のカラーコピーが入っていた。「ゆきはとけるとなにになる」の問いに「つちがでてはるになります」と鉛筆で書かれている。残念ながらバツをもらい、全体の点数は85点。お母さんが取り置いていたのを、遺品の中から見つけたそうだ

100220

         朝日新聞2010年2月20日天声人語

 以前、テレビのワイドショーでもこのネタは取り上げられたことがあるらしいが、実在が確認されたのは、これが初めてではないか。
 上の天声人語は「テストで「春になる」と答えた人は他にもおられることだろう」と書いている。こうなると、わたしもそうかもしれないと思う。
 しかし、これは謎々にすぎないという気持は変わらない。もったいぶって子供の独創性のあらわれだなどと言うのはやっぱり違う。上の手紙を書いた人も、テストの前にそんな謎々を読んだことがあったのではないか。
 さすがに天声人語も、もう独創性礼賛はやめて、普通の季節ネタになっている。それなら目くじら立てることもない。歌でも歌って、春を迎えよう。

春になれば氷(しが)こも解けて 
どじょっこだの ふなっこだの 
夜が明けたと思うべな

 

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2014年3月21日 (金)

J51 ジョーク世界一

 アカデミー出版のジョーク世界一のシリーズから。
 まず『ジョーク世界一』(クリント西森 編、アカデミー出版、2007)
  (注:クリント西森は天馬龍行の別名で、初版のあとは天馬名で刊行されている)

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悪い言葉
 中学生の息子が卑猥な言葉を口にするのに腹を立てた母親。
「そんな言葉、二度と口にしてはいけません」
 言い返す息子。
「だってこんなのJ・D・サリンジャーだって使ってるよ」
 母親がきっぱりした口調で息子を叱りつけた。
「だったらそんな子とはもう遊んじゃいけません」(P84) 

 次は、『続・ジョーク世界一』(天馬龍行編、アカデミー出版、2009)から。

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宣誓
 法廷に証人として呼ばれたある作家、宣誓のあとで姓名と職業を尋ねられて答えた。
「わたしの名は、ブルース・ケントン、米国が生んだ世界的な作家です」
 裁判が終わり帰宅した彼は妻に迎えられた。
「テレビで見てたんだけど、自分の地位を言うとき、もう少し控えめに言った方がいいんじゃない、あなた?」
 それに対し作家はむきになって答えた。
「宣誓したんだぞ、ウソはつけないじゃないか」(P122)

歴史認識
 歴史に対する認識は政権が変わるたびに変更があるのは仕方がない。困るのは本の発行元だ。そこで考え出されたのがルーズリーフ式歴史の本。(P179)

 

 最後は『これが本当のジョーク世界一』(天馬龍行編、アカデミー出版、2012)

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ベストセラー
 南フランス・ニースの日刊紙にこんな広告が載っていた。

 ”若いハンサムな億万長者、結婚を前提にして、「小説A]のヒロインのような女性と交際したし”

 広告が出てから、二十四時間以内に町のすべての書店で「小説A」が売り切れた。(P254)

紳士の数
「世界で一番薄い書物は?」
「イタリアの紳士録」(P261)

 

このシリーズは「ジョークの本 」の「JB03 『ジョーク世界一』」で紹介した。

 

 

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2014年3月18日 (火)

今日はとことん立川流!

 3月9日(日)、鎌倉芸術館の「かまくら名人劇場」で、ひさしぶりに落語を聴いた。「今日はとことん立川流!」という、落語立川流の会だ。
 出演者たちは、中入り後の鼎談で「立川流分裂の危機!」とか洒落で言っていたが、談志の死後も立川流は志の輔志らく談春などを中心にがんばっているらしい。家元制度は、やめたそうだ。

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 出し物は、  立川らくぼ 子ほめ
         立川談笑  粗忽の釘
         立川生志  紺屋髙尾
         立川志らく 火焔太鼓

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 前座のらくぼの「子ほめ」はちょっと発語不明瞭。今後がんばってください。

 談笑の「粗忽の釘」は、タンスを担いで引っ越しするという話で、前へかがむたびに引き出しが飛び出して、子供にぶち当てたり、縁台で碁をやってる爺さんたちにぶち当てたり大騒動。ようやく引っ越し先へたどりついて、壁へ箒をかける釘をうったら、それが突き抜けて隣のうちへ…という話。
 派手なアクションでわかせたが、まくらで話していた近況報告みたいな雑談のほうがおもしろかったような気もする。

 生志の「紺屋髙尾(こうやたかお)」は、紺屋の職人の久蔵が吉原の花魁髙尾太夫に一目惚れし、三年必死に働いて吉原へあがる。一途な久蔵にほだされた髙尾太夫は年季明けに夫婦になるという話。
 人情話の代表作の一つで、金持ちの若旦那のふりをしていた久蔵の純情の告白と、それにほだされた髙尾の返事が聴かせ所見せ所。なかなかよかったが、泣かされるところまではいかなかった。

 志らくの「火焔太鼓」は、五代目古今亭志ん生の十八番。古道具屋がたまたま仕入れた古い太鼓を、通りかかったお殿様が音を聞いて、これは名品「火焔太鼓」であると、お買い上げになり、三百両の大金を手に入れるという話。
 これを談志ばりの高速ギャグの連発でやる。圧巻は、お殿様に「こんな汚い太鼓をもってきて!」と庭の松に吊されて責められる妄想シーン。叩かれるだけでなく、蚊や蟻に食われるわ、蛭や蛇が出てくるわ、ガラスをひっかく音を聞かされるわ、というどんちゃん騒ぎになる。笑った。残虐シーンまがいまでやってしまうところがたしかに談志風だ。
 志らくには『雨ン中のらくだ』(立川志らく、太田出版、2009)という、入門以来のあれこれを書いた本がある。その中に、テレビでコントをやって受けていた頃、火焔太鼓をコント風に演出してやってみたら大受けで、後に談志にも志らくの十八番だと認められた、と書いてある。(P159)

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 この本によると、「志らく」の名前はフランスの大統領になったシラクからとったものだという。談志がフランスでパリ市長時代のシラクに会い、その頃入門したばかりの志らくにこの名前をつけたそうだ。(P34)

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2014年3月15日 (土)

竹島・香港・アラスカ

 門井慶喜について「また本を題材にした作品を期待したい。」と書いたので(→おさがしの本は)、その後、『竹島』(実業之日本社、2012))という本があるのを知って読んでみた。
 帯にはこう書いてある。

日本と韓国を両天秤、大ばくちの始まりや。
竹島領有権、その根拠となる江戸期和本を握った、むこうみずな大阪の若者と老人。対する派日韓外交当局のトップ。庶民対エリートの駆け引きの勝者は――だれや?

 竹島領有権の根拠となる古文書とは、おもしろいところに目をつけたな、と期待して読み始めた。

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 ところが残念なことに期待はずれだった。(以下最後までネタバレあり。ご承知ください。)

 まずこの古文書が頼りない。どちらに領有権があるのか書いてあるのだと思って読んでいくと、なんと文句の解釈によっては、どちらともとれるのだという。権利書のように、それを所持している方に土地が所属するわけでもない。それなら争奪戦に意味がなくなってしまう。
 主人公は稀代の口先男で、議論するとみんなまるめこまれてしまうという設定になっているけれど、ここに書かれている会話を読むかぎりでは、誰もがだまされてしまうほど口がうまいとはとても思えない。これで納得していては日本でも韓国でもとても外務官僚はつとまらないだろう。
 キャラクター小説というものがあるそうだ。よく知らないが、ライトノベルの技法で、登場人物のキャラクターを決めておいて、それを元に話を展開させるというものらしい。ロール・プレイング・ゲームの影響だろうか。
 児童読物やマンガで、小柄で眼鏡をかけた少年に「博士」というあだ名をつけておけば、その子は何でも知っていることになるようなものか。
 前にちょっと書いたけれど、海堂尊の医療小説シリーズも基本的にはこの手法で書かれているように思う。(→『ジェネラル・ルージュの凱旋』 )「ジェネラル」とか「ハヤブサ」というあだ名をつけて、それで登場人物の性格は了解してね、ジェネラルだから尊大で、ハヤブサだから仕事がテキパキできるんだよ、というわけだ。

 この小説では、主人公は「しゃべりの天才」というキャラクターに決めたので、外務省も韓国もみんな言い負かされてしまうことになっている。しかし古い小説の読者としては、それを納得できるだけの描写がないと合点がいかない。この手の小説では、お約束なんだから野暮なことは言うな、ということになっているんだろうか。
 筋立ても貧弱で、話題からすればKCIAや内閣情報室の暗躍が期待されるところなのに、下っ端の官僚や韓国領事が出てくるばかりで、そのうち突然外務大臣が、日韓サッカーの勝負で決めようと言い出したりする。サッカーの試合描写も迫力に欠ける。

 というわけで残念な作品だった。この題材ならもっと中身の濃い作品ができそうな気がするのに。
 例えば、こんなのはどうだろう。
 豊臣秀吉の朝鮮出兵のとき捕虜となって鹿児島にやってきた李氏朝鮮の陶工の子孫である民俗学者が、神田の古書市で朝鮮渡来と思われる古文書を入手した。それは日本政府から韓国に返還された朝鮮王室儀軌に欠けていた秘密の一冊で、そこには、竹島でひそかに執り行われた「島払い」の儀式のことが記されていた。
 「島払いの儀式」とは何か?島譲りの神話?「島原の子守唄」に隠された秘密とは?宮廷女医チャングムの末裔だと名乗る謎の美人女医はKCIAの手先か?
 ペ・ヨンジュンによく似た内閣情報調査室の担当官が、KCIAから、古文書をめぐる戦いに最終決着をつけようと呼び出された夜のディズニーランドへむかう。そこへ冬ソナの主題歌を口ずさみながら現れたのは、小太りで無精ひげをはやした、あの北朝鮮の独裁者の兄だった…(ああ、収拾がつかない)

 領土をめぐる古文書を題材にしたスパイスリラーというと、すぐ思い出す作品がふたつある。ひとつはこれ、服部真澄の『龍の契り』(祥伝社、1995)である。

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 これは1997年の香港返還について、実はイギリスが共産中国を承認する見返りに香港を返還しなくてもいいとする密約があったという設定。失われたその密約文書をめぐって、日中英米の外務省・諜報機関やユダヤ財閥、さらに中国の秘密結社や宋家の三姉妹の末裔に、果てはソニーを思わせる日本の大手電機会社の社長までが入り乱れて暗闘する。かなり複雑にこみいった話だが、手際よく、おもしろく読ませる。
 刊行された当時は、とうとう日本にもスケールの大きい本格的スパイスリラーが誕生したと評判になり、わたしも感心した。
 この小説の結末は、アジアを支配しようとするユダヤ財閥の陰謀に対抗して、欧米の価値観とはちがう安定したアジアを築くために、日本と中国が協力するという筋書きになっている。
 最近の日中の政治情勢からすると、とても考えられない結末だが、1995年当時、ほんの二十年前には、これがありうる理想として語られ、一般にも受け入れられていたのだ。時代は変わる。今の日中関係だってこのままずっと続くわけではないだろう。

 もう一作は、ジェフリー・アーチャーの『ロシア皇帝の密約』(新潮文庫、1990)だ。

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 こちらは、1867年ロシアからアメリカに720万ドルで割譲されたアラスカには、なんと買い戻し特約があったという話。99年以内に、99倍の7億1千280万ドル払えば買い戻せる、という条件がついていたというのだ。この着想が素晴らしい。
 この条約書は、ロシア革命のどさくさで失われたと思われていたが、ナチス・ドイツのゲーリング元帥を経て、イギリスの退役軍人に遺贈された「皇帝のイコン」の中に秘められていることが判明する。1966年の期限までになんとかこれを取り戻そうとソ連のKGBが暗躍し、英米のスパイが対抗する…
 歴史の示すとおり、ソ連のアラスカ買い戻しが成功しないのはわかっているのだが、アーチャーは最後まで楽しく読ませてくれる。

 現在、ウクライナ、クリミアが緊迫した状態になっている。ロシアがアラスカを割譲したのは、クリミア戦争(1853~1856)の後で、金に困っていたから、という説があるようだ。昔とちがって、他国に下手に介入すると、あとあと大変なことになるのはロシアもアメリカも十分わかっているはずだが、どうやっておさめるだろうか。

 それはさておき、香港、アラスカとくると、フランスがルイジアナを買い戻す、取り戻すという小説も、どこかにあるんじゃないかという気がする。どなたかご存じでしたら教えてください。

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2014年3月12日 (水)

JB03 『ジョーク世界一』

 アカデミー出版の『ジョーク世界一』シリーズ。

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    (書名)    ジョーク世界一(004=通し番号。以下同じ。)
    (副題)    毎日笑って半年笑える
    (著者)   クリント西森 編
    (出版者) アカデミー出版
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)     219
    (出版年)   2007/11/10
 

・ クリント西森は天馬龍行の別名で、初版以外は天馬名になっているようだ。

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    (書名)  続・ジョーク世界一(005)
    (副題)  毎日笑って半年笑える
    (著者)   天馬 龍行 編
    (出版者) アカデミー出版
    (頁数)  248
    (形状)   四六判ソフトカバー
    (出版年) 2009/03/10

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    (書名)   決定版!ジョーク世界一(006)
    (副題)   毎日笑って半年笑える
    (著者)   天馬 龍行 編
    (出版者) アカデミー出版
    (形状)   四六判ソフトカバー
    (頁数)  267
    (出版年) 2009/12/01

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    (書名)    これが本当のジョーク 世界一(007)
    (著者)    天馬 龍行 編
    (出版者)  アカデミー出版
    (形状)    四六判ソフトカバー
    (頁数)   289
    (出版年) 2012/02/01

 「超訳」で売った会社のシリーズ。文章に味があるとは言えないが、ジョークの意味をわかりやすくしてある。こういうのを超訳というのだろうか。

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2014年3月 9日 (日)

『図書館の死体』

 『図書館戦争』シリーズを紹介したので、ハヤカワ文庫の図書館長ジョーダン・ポティートのシリーズも紹介する。
 『図書館の死体』、『図書館の美女』、『図書館の親子』、『図書館長の休暇』の4冊が出ている。
 タイトルの「図書館」云々は原題にはない。主人公が図書館長なので舞台として図書館が出てくるものの 特に古本の秘密を追いかけたりはしないので、「古本の出てくる推理小説」とは言えないが、図書館つながりであげておく。

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 ジェフ・アボット図書館の死体』(ハヤカワ文庫、1997)のカバーにはこうある。

若くして図書館の館長を務めるジョーダン・ポティートは、わが身の不運を嘆いた。自分の図書館で殺人事件が起き、その容疑者にされたのだ。被害者はジョーダンや彼の母親などの名前を記した奇妙なメモを持っていた。真相を探るため彼は調査を始めるが……複雑な謎と感動的なラストシーン。アガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長編賞を受賞した話題作。

 主人公は、アルツハイマーの母親の面倒を見るため、東部ボストンで順調にいっていた仕事をやめて、故郷テキサスの田舎町へ帰ってくる。田舎町なのでインテリの職場としては図書館くらいしかなく、給料も安い。日本でも最近よく聞くような話だ。
 アメリカの田舎町の図書館には、住民による図書委員会という組織があって、それなりに力を持っているらしい。殺されたのはその図書委員の一人で、バプテストの狂信的な信者の中年女性。殺される前日、主人公は、D・H・ロレンスの『恋する女たち』は猥褻だから図書館から追放しろと主張する被害者と激しく争ったばかりだった。
 残されたメモには何人かの名前と、それぞれに関連づけられた聖書の引用句が書かれていた。殺人の真相を探るため、それらの人達を調べはじめた主人公は、聖書の引用句に呼応する、彼らの隠された過去や生活を次々に知ることになり、やがて自らの出生にかかわる秘密とも向かいあうことになる…

 というわけで、なかなかおもしろい推理小説である。
 架空のテキサスの町ミラボーは、大きな産業のない、緑豊かなひなびた小さな町で、車ならすぐ一回りしてしまう。都会とは違い人間関係が濃密で、誰が何をしているのか、みんなが知っている。日本の田舎町と同じようなだ。
 小説を読む楽しみのひとつに、行ったことのない町の雰囲気を想像しながら味わうということがある。アメリカというとまず思い浮かぶのは大都会だけれど、田舎にはこういう町もあるんだと、楽しむことができた。
 こういう楽しみはそれなりの情景描写がないと味わえない。最近紹介したライトノベル調のものはみんなストーリーの展開に忙しく情緒に欠けるようだ。これは普通の推理小説で、そんなに詳しい描写があるわけではないれど、やっぱりラノベよりこちらの方がいい。

 

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 2冊目の『図書館の美女』(ジェフ・アボット、ハヤカワ文庫、1998)までしか読んでいない。
 静かなミラボーの町に、突然、犬小屋や郵便受けが連続して爆破される事件が発生し、図書館長のボストン時代の恋人が不動産会社の社員として、リゾート開発のための地上げにやってくる。そこへ開発を阻止しようとする環境運動家も乗り込んできて、町を二分する大騒ぎになる。そして不動産会社の社長が死体で発見される…という話。
 リゾート開発対環境運動家と、ここでも日本にもあるような話だと思わされる。アメリカを追いかけて、同じような問題を日本もかかえるようになったということか。

 原題は”The Only Good Yankee"で、これは"The only good Yankee is a dead Yankee." 「死んだヤンキーだけがいいヤンキー」=「ヤンキーにはかかわりたくない」という、アメリカ南部人の北部人への皮肉からとったものだそうだ。
 主人公はボストン時代、田舎者としてさんざんテキサス訛りをからかわれたという話も出てくるので、対抗して北部人をからかうのはわからなくもないが、この言葉、もとは”Yankee”ではなく、”Indian”だったらしい。
 そうなると人種差別、人種侮蔑の話になってきて、アメリカ人という奴は…と言いたくなるが、まあこの本にそんなことが書いてあるわけではない。これも楽しく読んだ。

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2014年3月 6日 (木)

JB02 『世界のジョーク・警句集』

 『世界のジョーク・警句集』正・続2冊。

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    (書名)   世界のジョーク・警句集(002=通し番号。以下同じ。) 
    (著者)   田辺貞之助 執筆代表
    (出版者)  自由国民社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)   406頁
    (出版年)  1979年12月10日
                 (1980年10月15日4刷)
         ( )内は確認した現物の刊行日)

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     (書名)   続・世界のジョーク・警句集(003) 
    (著者)   田辺貞之助 執筆代表
    (出版者)  自由国民社
    (形状)     四六判ソフトカバー
    (頁数)   406頁
    (出版年)  1981年2月20日

 国別のジョーク集成。これが松田道弘の『世界のジョーク事典』の参考文献に入っていないのが不思議。
 正には「追編 近代漫画集」、続には「追編 近代おとぼけ漫画集」と表紙にあるが、ともに挿絵としてそれらの漫画が挿入してあるということで、別冊あるいは巻末に特集してあるものではない。

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2014年3月 3日 (月)

『図書館戦争』

 図書館で『アンネの日記』関連の本が破られる事件が報道されている。誰が何のためにやっているのか。いわゆる「歴史修正主義者」のしわざなのか、それともただの愉快犯なのか、よくわからない。
 古本ミステリとは言いにくいが、この事件で思い出した本を紹介する。

 有川浩(ありかわひろ、女性)の『図書館戦争』シリーズである。(メディアワークス、2006~2008)
 『図書館戦争』、『図書館内乱』、『図書館危機』、『図書館革命』の本編4冊と、別冊の『図書館戦争Ⅰ』『図書館戦争Ⅱ』の全6冊からなる。ライトノベル調なので、6冊あってもそう苦労せずに読める。

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 ミステリというよりSFで、あらすじはこうだ。
 舞台は2019年の日本。過去に公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」が成立し、「メディア良化委員会」が、良化特務機関を駆使してメディアを取り締まっており、抵抗する者には武力も行使されていた。
 これに対抗して、図書館側は「図書館の自由法」を制定し、図書館の役割と本の自由を守るために、武装した「図書隊」による防衛制度を確立した。
 そして良化特務機関と図書隊との永年にわたる武力闘争が繰り広げられる中、一人の女の子が、憧れの王子様のいる図書隊に入隊し、戦いに、恋に奮闘する…
 つまり、この本はけしからん、と本を検閲し廃棄する良化委員会に対し、本を守ろうとする図書館が戦う、という話なので、『アンネの日記』事件から思い出したというわけだ。

 この図書隊と良化特務機関の間に限って武力行使が認められているという設定になっているので、まずここで、そんなことありえないだろう、この設定はおかしいと思ってしまうと、先へ進めない。そこはSFだから、ということにして読んでいくと、「図書館の自由」だけでなく、現在の図書館がかかえているその他の問題もいろいろ折り込んで事件は展開していく
 この小説のメインは、憧れの王子様である図書隊の上司とのラブストーリーなので、図書館の問題は結局刺身のツマのような位置づけになってしまうけれど、ひととおり図書館のことは調べてあるなと感じた記憶がある。(このあたり、読んだのが何年も前で、今は本も手元にないので、具体的に説明できない。間違っていたらごめん。)
 『図書館戦争』という名前に惹かれて読んでみたところ、中身は若者向けの軽い恋愛小説だった。おもしろい設定なので、恋愛抜きでやってくれればよかったのに、とわたしは思うけれど、まあ、それではまるで売れなかっただろう。
 作者は、現在テレビでやっている『三匹のおっさん』の原作者でもある。一度見てみたが、ドラマもライトノベル調の軽いつくりのように感じたので、以後見ていない。

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 『図書館戦争』         『図書館内乱』

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 『図書館危機』         『図書館革命』

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  『別冊 図書館戦争Ⅰ』    『別冊 図書館戦争Ⅱ』

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