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2014年5月22日 (木)

J56 フランス・ジョーク集

 『フランス・ジョーク集』(礒村尚徳編著、萩野弘巳訳、実業之日本社1976)から。

06

ナポレオン

 ナポレオンは一八一五年、流刑先のエルバ島を脱出し、マルセイユ付近でフランス本土に上陸してからパリに向かい、再び天下をとった。その期間のナポレオンの動静を伝える官製新聞『ル・モニトゥール』の見出し。
 1――食人種、巣窟より脱出――
 2――コルシカの鬼、ジュアン湾に上陸――
 3――虎、ジァップに到着――
 4――怪物、グルノーブルで一泊――
 5――暴君、リヨンを通過――
 6――簒奪者、首都に六〇里(リュー)にせまる――
 7――皇帝、フォンテーヌブローに――
 8――皇帝陛下、昨日チュイルリ宮に還御。臣民の歓呼をよみしたまう――

 ☆私たちマスコミに対する痛烈な皮肉であると共に、革命の女闘士、偉大な指導者から、諸悪の根源、妖怪とされたどこかの国の女史に対する扱いを思い出しますね。
(P51)

 これはジョークではなく実話だということのようですが、こうして並べてみると、悪いジョークにしか見えません。これが「官製」ニュースというものの正体でしょうか。

 

節約

 二人の男が出会った。
「やあ、きみんとこの奥さん、相変わらず金使いが荒いかね?」
「いや、もういわんでくれ、ひどいよ」
「『どうして節約するか』って本、すすめたじゃないか。どうした?」
「きみのいうとおりにしたよ。女房があの本、読んだんだ」
「それで?」
「女房のやつ、ぼくにタバコをやめさせたんだ!」
(P174)

 

回想録

 二人の作家の会話。
「今、何を書いてるのかね?」
「回想録だよ、きみ}
「ほう、そりゃあいいね。で、ぼくがきみに一〇万フラン貸したところは、もう書いたかね?」
(P184)

 

 次は、野内良三『フランス・ジョーク集』(旺文社文庫、1987)から。

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真犯人

 本屋にはいって、雑誌やら漫画やら新刊本やらを次から次へと立ち読みした男が一番安い文庫本の推理小説をたったの一冊だけ手に持って、レジにやってきた。代金を支払いながら男は念を押した。
「この推理小説はおもしろいんだろうね?」
「そんなことは最後のページを読むまで分りませんよ。最後のページになって初めて被害者の妹が真犯人だと分るんですから」
(P58)

胃痛

 年がら年じゅう胃痛ばかり訴えている患者を医者が診察した。処方箋をしたためると、患者の妻に渡した。
「それでは先生、いただいた処方箋を持って薬局に行き、お薬を調合してもらえばよろしいのですね?」
「いや。薬局ではなくて、本屋に行くんです」
 不審に思った患者の妻は処方箋に目を通した。
≪良い料理の本を買うこと。そして食事の支度をするときは、本の指示を忠実に守ること≫
(P125)

 

 野内良三には『ふらんす小咄集』(旺文社文庫、1987)というジョーク集もある。これからも一つ。

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外交官の答

 レカミエ夫人は美人の誉れが高かった。スタール夫人は美人ではなかったが、博識で何冊もの本を書いていた。
 ある日のこと、ナポレオンの大臣タレーランが二人の夫人の間に坐った。スタール夫人がタレーランにたずねた。
――レカミエ夫人とわたくしが水に溺れたら、あなたはどちらを助けます。
――おお、マダム、あなたはなんでもよくご存じの方ですから、きっと泳ぎもご存じのはず。ですから迷わずレカミエ夫人を助けに行きます。
(P71)

 

Rekamie11

 上の絵は、フランソワ・ジェラール作「レカミエ夫人の肖像」である。参考までに。

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