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2014年6月19日 (木)

ショウ・ザ・レシート

 湾岸戦争のときに,日本がアメリカに出した金については、石原慎太郎が、雑誌「Will、2009年11月号」にこんなことを書いている。(「07年9月号再録」とあるので、2007年にも掲載されたようだ。)
 この年の9月に民主党の鳩山内閣が成立し、小沢一郎が幹事長として威勢をふるっていた。その小沢一郎を攻撃する「独裁者・小沢一郎徹底解剖!」という特集記事のひとつで、「小沢総理なんてまっぴらゴメンだ!」と題されている。

Will200911h

 1991年(平成3)、湾岸戦争が起きた。ブレディというアメリカの財務長官が日本に飛んできて、日本にカネを出せと言った。 当時の海部政権は、金丸と小沢が作った傀儡政権だった。外務大臣、大蔵大臣、通産大臣、官房長官の四人は、接待の紀尾井町の料亭で、いきなり40億ドル出せと言われ、「そんなカネは急には出せない」と断った。そうしたらブレディに、駄目なら俺は帰る、これで日米関係は悪くなる、おまえたちの責任だ、と脅され、慌てて幹事長の小沢に電話した。小沢は金丸と相談して、即決で40億ドル出すことになった。

 ブレディは日本に四、五時間しかいなかったのに四〇億ドルせしめて帰ってきて、ワシントンで記者会見をした。
 私は日本の政治家で一人だけ外人記者クラブのメンバーなんです。年中アメリカ人の記者と喧嘩する。喧嘩すると仲良くなるので、こちらに嫌な情報も教えてくれる。その一人からブレディの情報を聞いた。けれども嘘か本当わからない。NHKの日高義樹くんが当時ワシントンの支局にいたので、帰国した時に裏をとって聞きました。その通りだと。
 記者会見で、記者が「あまり機嫌がよくないけど、日本はやっぱりカネを出しませんでしたか?」と聞いた。ブレディは「出したよ」と答える。
 記者が「不機嫌なのを見ると、額が少ないんですね? いくらなんですか?」と聞かれて、ブレディが「四〇億ドル」と言ったら、みんなぶったまげた。
 日本に数時間しかいなくてそれだけのカネが取れたのなら大成功じゃないですか、と言われたブレディがニヤッと笑って「俺は二日かかると思ったんだが、アイツらちょっと脅かしたら四時間でカネを出した。だったら最初からもっとふっかければよかった」。こんなことまで言われていたんだ。
 その後、さらにアメリカは九〇億ドルを要求してきた。さすがにこれは内閣の一存では決まりませんから、九月に臨時国会を開いて、結局、合わせて百三十億ドルを出してアメリカの戦争を助けた。
 ところが出した直後に戦争は終わってしまった。カネをどう使ったか報告がない。日本にキックバックしたという噂があります。日本のメディアはやる能力も覇気もないから調べられない。アメリカ人の二人の記者が書きました。そのカネが誰にいったのか、想像に難くないけれど。(P204)

 40億ドルは当時のレートで約5,333億円。こういう経緯でアメリカに渡った金が、クウェートにはほとんどいかなかったのは確かで、その使途は、キックバック云々の話も含め、定かではないようだ。

 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受けて、アメリカのアーミテージ国務副長官から「ショウ・ザ・フラッグ」と言われたという話もトラウマのひとつになっているようだが、その前に「ショウ・ザ・レシート!」と言ってやれ、と思う。
 でも、(行ったことはないけれど)ぼったくりバーで「明細書を見せろ!」と叫んだりするようなもので、とても怖くて言えないのだろうか。

 

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