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2014年9月 4日 (木)

ひょっこりひょうたん島

 8月23日(土)、人形劇団ひとみ座の「ひょっこりひょうたん島」を横浜桜木町の県民共済みらいホールで見た。

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 パンフレットには「人形劇団ひとみ座の代名詞とも言えるNHK番組「ひょっこりひょうたん島」は、東京オリンピックの開催された1964年より5年間放映されました」とある。今年はちょうど50周年というわけだ。

 わたしが高校二年から大学生のころである。この番組は大好きだった。平日の夕方が放送時間だったので、高校生もけっこう忙しいから、毎日ちゃんと見ていたわけではないが、クラスでもけっこう人気があって、「みなっさーん」とドン・ガバチョの真似をして呼びかけるのが流行ったりしていた。
 だから新聞で公演情報を見つけたとき、すぐに申し込んだ。「昔を懐かしむ作品ではなく、今を生きる子どもたちに見てもらいたい」と書いてあったので、高齢者が単身で行くのはちょっと気が引けたけれど、行ってみたら、親子連れのなかにそれなりの年齢の客もそこそこいた。七、八分の入りだったので、枯れ木も山のにぎわいになったと思う。

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 一時間のステージで、前半は、ひょうたん島が漂流をはじめたいきさつや登場人物の紹介と、名場面集を見せてくれた。
 人間の舞台よりは小ぶりだけれど、華やかできれいだ。昔見ていた白黒テレビと違って、オールカラーである。
 「海賊キッドの宝の巻」に登場する海賊たちや、「魔女リカの巻」の電気掃除機にまたがって空を飛ぶ魔女リカが登場した。
 これがなつかしい。ひょうたん島はミュージカルなので、歌を聞くたびに忘れていた話をおぼろげながら思いだす。
 これは、海賊の宝のあり場所が隠されている「ナゾナゾ・ソング」である。これを主人公の一人であるハカセが解いて…という話で、この部分だけなんとか覚えていた、というか久しぶりに思いだした。

キ印キッドが云いました
バビロンまでは何センチ?
二十センチに十センチ
ローソクともして行けますか?
立派に行って戻れます

(この歌を聞きたい方はこちらでどうぞ→
https://www.youtube.com/watch?v=UOKf8FCLCcM)

 しかしここで、五十年来の誤りに気がついた。
 この歌詞は「二十センチ、二十センチ」だとばかり思っていた。
  ところが正しくは「二十センチに十センチ」で、たして三十センチのローソクを、灯したまま歩いて、行って戻れるところに宝が隠してある、という謎なのだった。謎解きのあたりはちゃんと見てなかったのか、「二十センチ、二十センチ」では、五十年たっても宝にたどりつけないところだった。

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 後半は、井上ひさしが生前、ひとみ座の舞台のために書いたという人形劇「泣いたトラヒゲの巻」。せりふは録音で、なつかしのメンバーがそのまま。

ガバチョ/藤村有弘
トラヒゲ/熊倉一雄
サンデー先生/楠トシエ
博士/中山千夏…

 まったくなつかしい声だ。聞いているだけで楽しくなる。
 パンフレットに書いてあるあらすじはこうだ。

 ある日のこと、「コケコッコー!」トラヒゲがニワトリのかっこうをしています。ガバチョもハカセもサンデー先生もびっくりです。タマゴをあたためてヒヨコにかえし、ニワトリに育ててタマゴを生ませて、トラヒゲデパートで売ろうとしていたのです。ところが育ったニワトリたちは、タマゴを産まないオンドリばかりで……?!

 かつてのファンなら、このあとトラヒゲがどう出るか、だいたいわかってしまう。
 だから他愛もないと言えばそのとおりだが、他愛なくて馬鹿馬鹿しいのもひょうたん島のよさのひとつだ。
 生意気盛りの高校生が気に入っていたのは、海賊トラヒゲとドン・ガバチョ大統領の桁外れのハチャメチャぶりだった。二人とも何をやっても失敗するのだが、決してめげない。特にトラヒゲのバイタリティはたいしたもので、またすぐ次の事業にとりかかっていく。
 声優の熊倉一雄と藤村有弘のやたらオーバーで、語呂合わせや、古めかしい形容の多いせりふも楽しかった。子供番組にはめずらしい破壊力があった。現在なら、ちょっとこれは、とクレームのつきそうな表現もけっこうあったように思う。 

 ともかく懐かしの番組をおおいに堪能した。
  人形劇をやる側の立場からすれば、録音テープではなくて、自前のせりふで、自由にやりたいだろう。そうすればひょうたん島も現代にみあった新しいストーリーで発展していけるかもしれない。そういえば、登場人物紹介のとき、ハカセは、昔の分厚い百科辞典ではなく、スマホをこすって調べ物をしていた。
 しかし、わたしのような古いファンは、声優が変わってしまったら、やっぱり「これはちがう。こんなもんじゃなかった。熊倉や藤村の方がずっとよかった」と言うにちがいない。古典としてこのまま保存してもらおう。

 帰るとき、若いおかあさんたちが
「これNHKでやってたんだって、知ってた?」
と会話しているのが聞こえてきた。
 知らなかったでしょうね、生まれるずっと前の番組なんだから。

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