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2014年11月24日 (月)

J62 フランス・ジョーク

 最近「本のジョーク」のカテゴリーと「ジョークの本」のカテゴリーが同じようなものになってきた。この先どうするかはともかく、今回は「本のジョーク」である。
 まず、野内良三、稲垣直樹『フランス・ジョーク集』(旺文社文庫、1987)から。

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モーセ

 イスラエルの中学校で教師が生徒たちに質問した。
「モーセのことはみなさん知っていますね?」
 すると、ひとりの生徒がさっと手をあげた、
「出エジプト記に出てくる指導者のことです。全く先見の明がない人です」
「なんてことを口走るんです! われらが偉大な先祖さまですよ」
「だって先生、そうじゃありませんか? イスラエルの民を率いてエジプトを出て、紅海を渡ったまではいいですよ。そのあと、なんで左へ曲がったんです? 右へ曲がっていれば、今頃、わが国は世界有数の産油国、それこそ大金持になっていたのに!」(p69)

論より証拠

 夜汽車の中で、熱心に本を読みふけっている乗客がいた。隣の席の乗客がのぞきこんで言った。
「それは幽霊の物語じゃないですか? そういった話はわたしなんかには、どうもくだらないとしか思えませんね。どうしたらそんな子供だましの話をお信じになれるんです?」
 乗客は答える代わりに、その場からすっと消えた。(p182)

 

 次は河盛好蔵編訳『ふらんす小咄大全』(ちくま文庫、1991)から。

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のぞいてみれば

 マリウスがバスに乗った。
 乗客は美しい年増の女がひとりだけで、彼女は一心に本に読みふけっていて、彼が入ってきても眼もあげない。マリウスはいろいろと話の糸口をさがしていたが、やがて思いきっていった。
 ――奥さん、奥さんは実にすばらしい脚をお持ちですね。失礼ですが、もしお膝のところをちょっと見せていただけましたら、よろこんで百フランさしあげますが。ほんのお膝のところだけでいいんです。
 すると彼女はだまってスカートを少しまくって、膝のところを、ほんとうに膝のところだけを見せてくれた。
 ――いやこれはますますすばらしい、とマリウスは感にたえた様子をした。 
 それを見て彼女は相手を促した。
 ――あなた、百フランお払いにならなければいけません、粋なお方!
 ――いいですとも、さあ百フラン!
 それからちょっとしてマリウスはまたいった。
 ――どうでしょう奥さん。おみ脚の奥の方をもう十センチだけ見せていただけたら、もう百フランさしあげますが。本の十センチだけで結構なんです。
 すると彼女は脚の奧を十センチメートルだけ見せてくれて、それから次のようにいった。
 ――あなたはほんとうに粋な方でいらっしゃいますから、もし三百フランくださいましたら、そしたら……。
 ――そしたら、どうなんです、とマリウスは息をはずませてたずねた。
 ――そしたら、あたくし、盲腸の手術をしてもらったところをお眼にかけますわ。
 マリウスはすぐに百フラン札三枚をさし出した。彼女がそれを受け取ったちょうどそのとき、バスがとまった。彼女は立ち上がってバスを降りながら、正面にある不格好な一つの建物を指していった。
 ――これでございますわ。
 そこには大きな字で「外科病院」と書かれてあった。(p137)

 

読心術

 バガスは泳ぎが飯より好きである。ちょうど家の近くに川があって流れは静かだし、岸辺は草原になっている。暑い日にはかれは、どぶんどぶんととびこんで悦に入っていた。
 ある日の夕方、いつものようにそこに出かけ、草原で服を脱いですっぱだかになって跳びこんだ。長いこと泳ぎまわって、さて岸にもどろうとすると、服を脱いだところのすぐそばに若い娘がひとりしゃがんで本を読んでいるではないか。これは困った。バガスは泳ぎながら、なんとかこの純真らしい娘を恥ずかしがらせないですむ方法はないものかと考えた。突然うまい方法がバガスの頭にひらめいた。さきほど潜ったとき川底に古い桶のあったのを思いだしたのだ。そこで、もう一度潜ってみると幸いその桶が見つかった。これでひと安心。かれはそれをいちばん問題だと思われるところに当てがって岸にあがり、若い娘のほうに近よった。「こんな簡単な服装ですみません。ふだんはだれもこのへんは通らないので」などどいいわけをしながら……
 若い娘はにっこり笑って、「いいえご心配にはおよびません」というのでバガスも急に気が軽くなって話しかけた。
 ――小説を読んでるんでしょう、きっと。
 ――小説じゃないんです。これは人の心を読む方法を教える本なんです。
 ――お嬢さん、そういう本はみんなまやかしですよ、あてにはなりませんよ。
 ――まやかしじゃありませんわ。その証拠に、あたしはあなたが何を思ってらっしゃるかちゃんとわかります。
 ――これはオドロキですね。
 ――では申します。あなたはあなたの桶に底があると思っておいでです。ところがそれがないのです!(p189)

 

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