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2014年11月 9日 (日)

JB31 フランス小話

 わたしの若い頃までは、フランスといえば芸術の国、文化の国だった。ジョークですら粋で垢抜けていると考えられていた。大学でも第二外国語としてフランス語は随分人気があった。
 世界中にアメリカの影響力が拡大していく中で、ヨーロッパの地位が低下し、今ではフランスのジョーク集の新刊もさっぱり見ない。
 古いのをさがせばもっといろいろありそうだけれど、現在手元にある フランスの小話集はこんなところ。

130 フランス小話集

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    (書名)   フランス小話集   
     (著者)   田辺貞之助
      (出版者)  高文社
      (形状)     新書
      (頁数)     144
      (出版年)   1966/07/10

・これはJB28 田辺貞之助の本へ入れてもよかったか。

・この会社の「アメリカ小話集」の巻末には、「世界小話全集」と銘打って、この本を含め全16巻の小話集のリストが載っている。うち3冊しか見ていないが、田辺貞之助、金子登、宮尾しげを、といった名前が並んでいるので、艶笑譚が中心のシリーズと思われる。
 この本も艶笑譚が中心で、どこかで読んだような話が多い。

・こんなジョークもあった。

戦後戦争防止法
――永久に戦争をなくして、世界平和を樹立する方法はないものだろうか?
――そんなことわけないさ。勝ったほうが全部の費用を払うってことにすりゃ、戦争をはじめる国はなくなるだろう? (p122)

 アメリカは、このジョークのように、結局戦争のツケを払わなければならなくなっているような気がする。

 

131 フランス笑話集 

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    (書名)   フランス笑話集   
     (著者)   奥平堯 訳編
      (出版者)  社会思想社
      (形状)     文庫
      (頁数)    222
      (出版年)   1981/05/30・

・この『フランス笑話集』132『フランス小ばなし集』は二冊とも、フランスで刊行された『世界民話集』から、フランスの笑話、小ばなしとしてふさわしいものを選んで編んだものとのことである。

・だから二冊とも、ジョーク集というより、民話集、昔話集である。ほら吹きや愚か者、知恵ある庶民が司祭や領主をだます話。粋で洒落たフランスではなく、田舎のフランスが舞台のお話集。
 こういう話が後に小咄やジョークになっていったのだろうけれど、実はわたしはジョーク集だとばかり思って買ったら、そうではなかったのでちょっと残念だった本である。

・編者あとがきによれば、この本に好色物がないのは、原著にないからだという。フランスの民話にその類のものがないとは、と編者も疑問を呈している。

 

132 フランス小ばなし集

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    (書名)   フランス小ばなし集   
     (著者)   奥平堯 訳編
      (出版者)  社会思想社
      (形状)     文庫
      (頁数)    254
      (出版年)   1981/07/15
            1981/09/30 2刷

131フランス笑話集』 で書いたとおり、これもフランスの民話集である。131より短めの話がこちらには収録してある。

・「聖ペテロの母親」という話があった。
 地獄へ落ちた性悪の母親を救うため、母親の生前の唯一の善行――餓死寸前の男に葱(ネギ)の葉を一枚くれたやった――を根拠に、聖ペテロは天国から地獄へ一枚の葱の葉を垂らしてやる。長くのびた葱の葉に母親がぶら下がってのぼりはじめると、その後を次々に罪人たちがのぼってくる。それを見た性悪の母親が、下の罪人たちを蹴落とそうとすると……
 これは芥川の「蜘蛛の糸」ではないか! 芥川はお釈迦様ではなく聖ペテロからヒントを得たのか。

133 ふらんす小咄集

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    (書名)   ふらんす小咄集   
     (著者)   野内良三
      (出版者)  旺文社
      (形状)     文庫
      (頁数)     224
      (出版年)   1987/03/25

.・これは通常のフランス・ジョーク集で、好色話がたっぷりある。あとがきには、最近フランス小咄の本格的な本が出ない、と書いてある。1987年頃にはもうフランスの地位は低下していたようだ。

・また、あとがきには、280篇中すでに紹介済みが数十篇ある、と書いてある。こういう正直なジョーク集はめずらしい。どこかで読んだことがあるようなジョークばかりの本もけっこうあるのだ。

 

134 フランス・ジョーク集

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    (書名)   フランス・ジョーク集   
     (著者)   野内良三、稲垣直樹
      (出版者)  旺文社
      (形状)     文庫
      (頁数)     208
      (出版年)   1987/06/25

.・これも通常のジョーク集で、こちらのあとがきには、250篇中すでに紹介済みが50篇ほどある、と書いてある。

・こんなジョークがあった。

信念
 一代で巨万の富を築いた実業家に新聞記者がインタヴューした。
「社長が今日あるのは、どんな信念をもってやってこられたからですか?」
「別にタイしたことではありませんよ。ただ、私の信念というのはですね、お金は二の次。様は身を粉にして働くということです」
「なるほど、そうですか。それで、そういう信念をお持ちになったお蔭でわが国でも指折りの億万長者になられたわけですね?」
「いや、そういった信念をうちの全社員に植え付けたお蔭だよ」(p32)

 最近のブラック企業のことを思うと、ちょっと笑いにくい。

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