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2015年3月12日 (木)

悪い冗談の果てに 1

 最近、悪い冗談がもとでいくつかの事件が起こった。
 去年(2014)12月に、北朝鮮の金正恩暗殺計画を題材にした映画「ザ・インタビュー」に対して、配給元のソニー・ピクチャー・エンターテインメント(SPE)へのサイバー攻撃が行われ、上映予定の劇場が脅迫された。
 今年の1月には、宗教や政治に対する過激な風刺画を掲載するフランスの週刊誌「シャルリ・エブド Charlie Hebdo」襲撃事件があった。
 どちらも「悪い冗談」がもとで大変なことになっている。だから、わたしはジョークや本の紹介をしているだけだけれど、少しまじめに、ジョークの意味や位置づけということも考えないといけないかと思っている。しかしジョークについてまじめに考えるのはあんまりおもしろいことではない。

 「ザ・インタビュー」はオバマ大統領が声明を出すほどの騒ぎになったけれど、インターネットで予告編や内容紹介を見てみると、北朝鮮を諷刺するというより、ネタになる題材として取り上げ、ただ愚弄しているだけのように見うけられる。
 映画評論家の町山智宏は、こんなふうにラジオで話している。

 これは国際的バカ事件で、これで騒いでいる人はみんなバカだ。そもそもこの映画は、まじめな顔をして騒ぐような映画じゃない。監督のセス・ローゲンと主演のジェームズ・フランコは、ずっと「ブロマンス bromance (brother と romance )」と呼ばれる、男同士の友達以上恋人未満の関係をネタにしたコメディー映画をつくってきて、これもそういう一作である。ギャグもくだらない下ネタがたくさん出てくる。
 みんなこの映画をちゃんと見ないであれこれ言っているのではないか。見ればあんまりバカバカしくて何も言う気がなくなるはずだ。
 そもそもソニーはこの事件の前から何度もハッカーにやられていた。それが、この映画が原因で北朝鮮に狙われたのではないかという報道が出たら、その後に「この映画を公開するな」という脅迫が来た。だからハッカーが、この際北朝鮮のせいにしてしまおうとしたのかもしれない。
 北朝鮮の方は、それなら自分たちのサーバーアタック能力が高い、脅威だということになるので、そうしておこうと思っているとも考えられる。
 日本では大騒ぎしてるが、ともかくくだらない映画だから、大人が騒ぐようなことじゃない。オバマがまじめに取り上げるような映画ではない。
https://www.youtube.com/watch?v=73FSLWsJapk

Photo
 これを聞いて、なるほどそうなのかと、この映画を見る気はなくした。
 しかし、この映画が北朝鮮を怒らせたことは間違いないだろう。単なるジョークだ、そんなこともわからないのかとこの監督たちは言うかもしれないが、そのジョークの中に愚弄・嘲弄が含まれていることは間違いない。自分たちが愚弄・嘲弄されて喜ぶ者はいない。
 揶揄・諷刺と愚弄・嘲笑は紙一重だ。「表現の自由」はたしかに尊重しなければならないが、面と向かって「おまえはバカだ」と言うのが「表現の自由」にあたるかどうかは疑問だ。あたるとしても、相手から一発二発反撃があるのは覚悟しておかなければいけないだろう。

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