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2015年4月16日 (木)

JB36 加島祥造の本

 これらの加島祥造(かじましょうぞう)の本のうち、148、149、150は、ジョーク本ではないけれど、ジョークに隣接するユーモラスな名句などについて語っているものなので、紹介しておきたい。
 加島祥造は、英文学者にして詩人。最近は東洋思想に傾倒し、「伊那谷の老子」ということになっているようだ。

 加島によれば、英語には多彩な「引用句辞典」がある。演説や文章に気の利いた引用句を入れることがひとつの文化になっている。日本でも昔はそうだったが、明治で基盤を西洋文化に切り替えた際に失われた。
 これらの本で加島は、いろいろな英語の引用句辞典を紹介・解説し、日本にも、教訓的名言だけではない、独自の発想と表現をもつもの、その句が発された状況に寄りかからない、普遍的真実をみごとに表現する引用を集めた辞典が欲しいと述べている。

 

148  新・英語の辞書の話―引用句辞典のこと

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.    (書名)  新・英語の辞書の話
           引用句辞典のこと
      (著者)  加島 祥造
      (出版者)  講談社 
      (形状)     四六判ハードカバー
      (頁数)     302
      (出版年)   1983/01/10

・副題に「引用句辞典のこと」とあるように、英語の引用句辞典について書かれたもの。英語のものは非常に発達していてすぐれたものが多く、これに比べると日本の名句辞典・金言辞典といったものは貧弱である、という。

・中に「ユーモア引用句辞典の話」という章があり、日本に好いユーモア辞典がないとも言っている。
 金子登編『ユーモア辞典』、秋田實編『ユーモア辞典』(→ JB29 金子登の本JB17 秋田實の『ユーモア辞典』)が出ているが、これらは、英語の引用句辞典とはまるでちがう。またこの両氏のユーモア感覚は加島とは違う。大正期あたりからの冗談感覚で、加島の江戸伝来のユーモア感覚にはあわない。

・日本では「柳樽」が引用句辞典の役を果たしてきた。「江戸小咄辞典」もそうだ。

・「現代日本のユーモアは――その機智も諷刺もジョークも――すべてが余りにも幼稚で薄っぺらでミミッチイものです。」とも加島は言っているが、ちょっと承服しかねる。漫画から演芸までの雑多な笑いを集成して、加島の言うような引用句辞典が編纂されれば、それなりのレベルのユーモアが集まるのではないか?

・この本は、講談社学術文庫に『引用句辞典の話』 と改題して収録されている。

 

149 西洋ユーモア名句講座

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.    (書名)  西洋ユーモア名句講座
      (著者)  加島 祥造
      (出版者)  立風書房 
      (形状)     四六判ハードカバー
      (頁数)     237
      (出版年)   1984/03/01

・西洋のユーモアを、引用句辞典からユーモラスな言葉をひいて、その裏にある西洋的な常識の働きや表現を考えようという本。

・加島は非常にまじめで、そのうえユーモアに対する要求も高い。例えば、ボブ・ホープからの引用句についてこう書く。

 「中年(ミドル・エイジ)とは、まずあなたの年齢(とし)があなたの腹(ミドル)のまわりに現われはじめることを言う。     ――ボブ・ホープ――
Middle age is when your age starts to show around your middle.
                                     --Bob Hope
 これはまったく語ろ合わせのユーモアであり、内容は平凡きわまる。「中年になったんで腹がではじめたよ」とは日常の常套語だ。ところでボブ・ホープは、ミドル middle を中年と腹の両方に使って語ろ合わせで笑わせようとする。これは低級な笑わせ方であり、つまらぬユーモアの降霊と言える。」(p184)

 これでは綾小路きみまろのギャグなど、とても受け付けてもらえないようだ。

 

150 アメリカン・ユーモア

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.    (書名)  アメリカン・ユーモア
      (著者)  加島 祥造
      (出版者)  中央公論社 
      (形状)     四六判ハードカバー
      (頁数)     277
      (出版年)   1990/08/10

・単行本『アメリカン・ユーモアの話』(1986年2月、講談社、未見)を改題したもの。

・ 目次はこうなっている。

1 アンティクライマックス――期待はずし
2 ホースセンス――したたかな常識
3 ワイズクラッカー――利いたふうなやつ
4 スノッブとブーボワジー――俗物と成金
5 コン・マン――ぺてん師
6 トール・テイル――ホラ話
7 アメリカ的な表現例
8 対照のユーモア
9 ユーモアと語り口
10 間のとりかた
11 恐怖とユーモア
12 名前ばかりが並ぶ章
13 アメリカのユーモアと日本のユーモア

 アメリカ人のユーモアを、その構成や基本となるアメリカ人の考えかたなどを説明しながら、ユーモア小説なども例にあげて解説している。おもしろいが、ジョークはほとんどない。

・加島はいう。
 英語国民は、ユーモアのセンスがないと言われることを非常に恐れる。無理にもユーモアを口にしなければいけないような感覚は煩わしいこともあるが、彼等とつきあっていくにはまず彼等のユーモアを楽しむことができなければならない。
 日本人は江戸時代の洗練されたユーモアを失ったうえ、,西洋のユーモアを取りいれることもできていない。だから日本人はユーモア不足の国民だとされてしまう。江戸期のユーモア・センスをきちんと受けつげば、西洋のユーモアにも対応していくことができる。

 

 

151 ユーモア名句&ジョーク

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.    (書名) ユーモア名句&ジョーク
      (著者)  加島 祥造
      (出版者)  講談社 
      (形状)     四六判ハードカバー
      (頁数)    276
      (出版年)   1986/10/15
                        1987/03/20、2刷

・これは理論ではなくて、タイトルのとおり、ユーモラスな引用句やジョークを集めたもの。

・中年・老年に関するものから。

女性がはき心地のよさで靴をえらび、暖かさでセーターをえらぶようになったら、その女性は中年になったと言えるだろう。(p129)
 

ある男が大学の同窓会に出た。家に帰った彼はとてもがっかりした顔で妻にいった。
「同級生たちは、みんなすっかり肥って禿げあがっちまったんで、ぼくが誰だかわからなかったぜ」(p129)
 

患者「右足が痛むんですが……」
医者「としのせいだね」
患者「だって先生、左足も右足と同じに年とってるのに、ぜんぜん痛まないのはどういうわけですか?」(p131)

 

・最新の話題からもうひとつ。

電気自動車(仮題)
彼は、ガソリンのかわりに電気を動力にした自動車を発明した。「わたしはこの自動車でカリフォルニアからニューヨークまで走ったが、燃費はわずか三ドル四十セント――ただし延長コードが三万二千ドルかかったがね」(p258)

 

 

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