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2015年5月 4日 (月)

漢詩をつくる 2

漢詩をつくる

 先にあげた詩語表や韻字表は、太刀掛呂山(たちかけ・ろざん)『だれにもできる漢詩の作り方』(呂山詩書刊行會、1990、B5ソフトカバー、156p)のものである。この本は現在、漢詩初心者の必携本ということになっていて、通称「だれ漢」と呼ばれているそうだ。

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 さてこれを使って、どうやって漢詩一首をつくったか、あるいはでっちあげたかを書いておこう。前に書いたように、この本にある詩語表から熟語を選んでつなげたわけだが、つなげる前に承知しておかなけらばならない規則がある。
 おおよそこんな規則である。

漢詩の規則
1 二四不同、二六対(にしふどう、にろくつい)
  二字目と四字目は平仄を同じにしない。
  二字目と六字目は平仄を同じにする。
2 一三五不論(いちさんごふろん)
  一字目、三字目、五字目の平仄は公式どおりでなくてもいい。ただし、下三連不許に違反してはいけない。
3 下三連不許(しもさんれんふきょ)
  一番下の三字すべてが同じ平仄になってはいけない。
4 孤平不許(こひょうふきょ)
  七言の四字目、五言の二字目が平のときに、その前後(三字目と五字目)が仄字となり、平字を挟む(「挟み平」)ことは許されない。
  →一三五不論でも、四字目が「孤平」にならないように注意。
5 同字重出を避ける
  一つの詩の中で同じ字を二度使ってはいけない。ただし「悠々」、「凛々」のような「畳字」はいい。
6 冒韻(ぼういん)をしない。
  脚韻につかった韻の字を脚韻以外に使ってはいけない。ただし最近これはうるさく言わないそうである。

 こう言われても、初めは何のことやらよくわからない。しかしこれがみんな「音韻」に関する規則であることはわかる。やっぱり漢詩は「音」が重要なのだ。
 とりあえずいろいろ規則があることだけ承知しておいて、つくったあとで規則にあっているかどうか点検してみるしかない。
 そこで、さてつくろうとすると、前掲『だれにでもできる漢詩の作り方』には、頭からつくるのではなく、終わりからつくれと書いてある。結句、転句からつくれとして、さらにつくる語句の順番まで書いてある。結句の最後の三文字からほぼ逆につくっていくようになっている。

(起句) ○○ ●● ●○◎
      10   9    7
(承句) ●● ○○ ●●◎
      12   11   8
(転句) ●● ○○ ○●●
       6   5    4
(結句) ○○ ●● ●○◎
       3   2    1
(平起式。平声を○、仄声を●であらわす。◎は平声の同韻)

 転句・結句に詠もうとすることの主眼をおいて、それを一つにまとまるようにつくり、起句・承句がそれにつながっていくようにつくれ、ということであるらしい。それが「詩壇千古の定律」であるとも書いてある。
 なるほど、歌謡曲で言えばサビの部分をまず決めて、それにあわせて前後を調えるようなものか、とわたしは勝手に理解した。エクセルで下記のような韻と順番のわかる原稿用紙をつくって、できるだけ本に書いてあるようにやってみた。 

Photo_3

 詩語表から選んで1のところへ「礼空王」、その上は3「鐘声」2「隠々」、次の頁から4「清浄地」、6「古墓」5「苔生」とつなげていった、と書ければいいのだが、そんなに簡単ではなかった。最初に思いついた結句ではまとめられず、何度か書き直したり、順番も後先になったりしながら、ようようたどりついたのが、先に掲げたわたしの詩である。

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 やってみたところ、なんだか絵柄がわからないジグソーパズルをやっているような感じだった。ピースがちゃんとはまったかどうかよくわからない、全体がまとまって一つの絵になっているかどうかもよくわからない。なんとも頼りない。
 ともかく単語をつらねて形をつくろうとしただけで、 自分の感慨や経験を述べようとしたわけでもない。なんだか変なものだが、宿題として提出したときにはちょっと緊張した。
 そうしたら先生から、詩語表で二頁という狭い範囲にある熟語だけでつくったことを評価され、二ヵ所、こうした方がいいと直されただけですんだ。この調子でたくさんつくりなさい、と言われた。どうも「ほめて育てる」タイプの先生のようだ。
 直された後の詩。

Photo_4
 (石磴(せきとう)は石段。)

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