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2015年8月10日 (月)

J69 作家たち

 今回は、植松黎編・訳『ポケット・ジョーク15 芸術家』から、いろんな作家たちの行状を。

Pj15


最も愚なる者
「あなたの原稿を読ませていただきました。先生」出版業者がもったいぶって言った。「この作品には、幾つか心ひかれるところがございます。しかしまた、あいまいではっきりしない部分も数多くあります。先生、あなたは、最悪の愚者にさえ、あなたの言わんとしていることが理解できるような、そんな描き方を学ぶべきじゃないでしょうか」
「わかりましたわ」女流作家が冷淡な口調で言った。「で、ちょっと教えてくださいな。あなたが一番難しいと思ったところはどこ?」(P193)

 

プロ
 ウォルターは、作家になるのが望みだった。ある雑誌社が、彼の短編を七十五ドルで買い、雑誌にのせた。その短編は、編集者たちの注目するところとなり、ウォルターには執筆依頼が殺到した。もちろん、はるかに高い原稿料でである。机上には、そうした契約書が束になってつみあげられているほどだった。
 そんなおり、ウォルターの最初の短編を掲載した雑誌社から新たに執筆依頼がとどいた。一篇七十五ドルで、さらに十編、短編小説を書いてほしいというのである。
「遺憾ながら、ご依頼には応じられません」ウォルターは返事を書いた。「小生、いまやプロの作家であります」(P194)

 

牝鶏(めんどり)と批評家
 小説を二冊ばかり出版したことのある作家のヘンリーと文学愛好家のマックスが論争していた。ヘンリーが、とうとう、癇癪(かんしゃく)を起して言った。
「いや、マックス、きみにはこの小説はわからんのだ。きみは小説を一冊も書いてないからね」
「そんなことはないよ」とマックスは言った。そういう論理は悪しき経験主義さ。考えてもみたまえ。ぼくは卵を産んだことはないが、オムレツの味のよしあしについてはどんな牝鶏よりもよく知っているんだ」(P195)

 

一語の値段
「私の一語が二十ドルについたこともあったな」と中年の作家が編集者に言った。
「いつのことなんです、それは?」と編集者は半信半疑で尋ねた。
「交通違反の裁判で、判事にひと言口答えしたんだ」(P195)

 

最高のフィクション
 高名な作家に新聞記者が尋ねた。
「先生のフィクションのうちで、最高傑作は何でしょうか!」
「今度税務署に提出した税金の申告書だろうな」(P196)

 

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