« 本興寺のサルスベリ | トップページ | 本覚寺のサルスベリ »

2015年8月24日 (月)

驚きの図書リスト2

 ネットでみると、武雄市図書館は購入図書リストの他にもいろいろ問題になっている。その中にCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)に業務委託する際に除籍(廃棄)した図書のリストもあった。下記で見られる。
 本が5,506冊。その内訳は一般書が2,610冊、児童書・絵本が714冊、一般誌(雑誌)2,180冊、紙芝居が2冊。
 AV資料が3,254点。その内訳はビデオ1,468点、CD1,322点、DVD464点。
 見た感じでいうと、まずCD、DVDが多い。ビデオというのはVHSだろうから、貴重な資料でなければ廃棄されるのもやむをえないが、CD、DVDがこんなに廃棄されるのは納得がいかない。
 これだけの点数がみんな再生不良だったとは考えにくい。図書館で購入しているDVDなどはレンタル許諾の高い値段で購入したものの筈だ。ツタヤのレンタルと競合するからといって、簡単に処分していいものではない。
Photo              廃棄リストp150
 一般書では小説が多い。それも推理小説、時代小説の類がほとんど。図書館では人気のある部分だと思う。
 ちょっと気になったのは、 毎日新聞縮刷版昭和29年4月から昭和34年12月分が廃棄されていること。こういうものが置いてあるのが図書館じゃないの。
 それからこんな頁もあった。
Photo_3            廃棄リストp22

 これは五万分の一の地図ではないかと思う。こういうものも図書館には置いておいてほしい。目先の利用者が少ないとか、保管が面倒だとかで廃棄するものではない。古くなるほど逆に資料価値は高まる。
 雑誌については、古い一般的な雑誌が処分されるのはしょうがないが、ネットには、貴重な郷土研究誌が廃棄されているという批判があった。郷土誌のことはわたしにはわからないが、単行本より雑誌の方が世の中に残らないものなので、図書館としては資料価値を十分考えて残すべきものは残さないといけない。
 この廃棄リストと、同時期に購入した図書のリスト(→驚きの図書リスト)を比べてみると、大量に廃棄したジャンル――児童書、雑誌、CD、DVDが、ほとんど補充されていないことがわかる。すべてツタヤの書店とレンタルに競合するジャンルである。
 図書館と同居するわけだから、ある程度棲み分けるのは当然だとしても、まだ十分使用価値があるものをいきなり廃棄するのは間違っている。それに棲み分けるなら、辞書などの参考図書類を増やすとか、それなりの方針をもって選書すべきところ、空いたスペースをどこかの売れ残りのようなガラクタ本の山で埋めている。図書館を劣化させてしまっては相乗効果も得られない。
 「GLOBIS知見録」というHPには、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ増田宗昭社長「企画という生き方」という講演会の記録がある。そこで武雄市の図書館について、増田社長はこう言っている。
で、武雄にあった既存の図書館を全て見直して、現在のような形にした。年中無休で夜も開いている。朝も早くから開いていて、コーヒーを飲むことも出来るし、雑誌も購入出来る。また、本の分類はすべて生活分類だ。図書館法の分類ではなくて、代官山 蔦屋書店でやっているような身近な分類。人口5万人という地域で、近所は山だらけ。隣には高校がある。高校生は自習室でスターバックスのコーヒーを飲みながら勉強出来る。Wi-Fiも完備しているし、20万冊の本はすべて無料だ。映画や音楽もたくさんあり、当然、Tポイントも使える。

結果として、僕らがお手伝いをする前は1日800人前後だった来館者が、なんと4600人に増えた。「人口5万人の市でこんなに来て大丈夫か? 犬や猫までカウントしているのか?」(会場笑)というほど来るようになった。代官山 蔦屋書店を知る方々も、この図書館に来ると、皆、「代官山よりもすごい」と言う。それはそうだ。20万冊が無料で、しかもそれらが代官山 蔦屋書店と同じ分類で並んでいる。料理やら旅行やら、もうすさまじい量だ。その結果として、武雄市でTカードを持っている人は41%から一気に49%へ上がった。このままいくと沖縄や寒川町も追い抜く勢いだ。

今は行政の方があちこちから毎日見学にいらしていて、「うちでもやってくれ」「見に来てくれ」と、行列をつくっている状態だ。僕らがやるとコストが下がるというのもある。すべてセルフPOSだし(最新のレンタル屋で見慣れた仕組みが取り入れられ、さながら)本のレンタル屋だ。要するに「(ステレオタイプなレンタル屋もないし、)図書館なんてものはない」と。名前は図書館だが、(使われている仕組みの側面で見れば、さながら)本のレンタル屋だ。http://globis.jp/event_report/2543/

 名前は「図書館」だが本のレンタル屋だ、と社長が言っている。そういうことかい。
 「20万冊が無料で、しかもそれらが代官山 蔦屋書店と同じ分類で並んでいる。料理やら旅行やら、もうすさまじい量だ。その結果として、武雄市でTカードを持っている人は41%から一気に49%へ上がった。」
というのもすごい。武雄市に埼玉ラーメンマップや何年も前の東京ディズニーランドのガイドマップをすさまじい量で並べていては、本のレンタル屋の商売は成り立たないんじゃないの。Tカードを持ってる人が増えて、ツタヤのレンタルと書店、それにスタバが儲かっていればいいという話じゃないだろう。
 
 これに対して、アマゾンのブックレビューにはこんなものがあった。当時の市長の著書『沸騰! 図書館 100万人が訪れた驚きのハコモノ 』(樋渡啓祐、角川書店(ワンテーマ21)、2014)に対するものである。
佐賀県武雄市では、2000年に新築した市立図書館を2013年に税金4.5億円を投入してツタヤとスターバックスに改修しました。 しかし、図書館はおまけの施設となって奥のほうに追いやられ、運営費も年約3千万円アップしています。 この本は市長側の視点から書かれているので注意が必要です。 1年で100万人が訪れたと言っていますが、ツタヤとスターバックスの来店者数も含めて数字を「盛って」いるので 図書館の来館者数として単純に比較できるものではありません。 税金で運営するツタヤが、その値段に見合ったものかは地元の市民が判断すればよいと思いますが、 他の自治体までもこの公営ツタヤを真似しようとしている報道を耳にすると、 安易に民間に丸投げしようとする、自治体の実務能力の劣化が進んでいることを痛感します。http://www.amazon.co.jp/review/R26G0RSSI9D1SP
 ネットには、蔵書の他にも契約がらみの問題とか、いろいろ取り上げられている。この市長はその後佐賀県知事選に出て落選し、現在はCCCの子会社の社長や、市長の時に市民病院を譲渡した社団法人の理事などをやっているそうだ。「李下に冠」ということわざはご存じないらしい。
 神奈川県海老名市のほか、宮城県多賀城市愛知県小牧市など、CCCへの図書館委託話が進んでいる地方都市もいくつかあるようだ。武雄市の事例を十分参考にしてもらいたい。
 図書館にスタバやツタヤがあるのは悪いことではないけれど、そのために図書館が劣化してはいけないし、スタバやツタヤが儲からないからやめると言い出したときに、図書館まで一緒につぶれたり、自治体が余計な損失をかぶるようなことがあってはいけない。今のうちは、スタバが来れば人が集まってメディアが取り上げるかもしれないが、いつまでも騒がれ続けるわけではない。
 
 
 

|

« 本興寺のサルスベリ | トップページ | 本覚寺のサルスベリ »

なむや文庫雑録」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 驚きの図書リスト2:

« 本興寺のサルスベリ | トップページ | 本覚寺のサルスベリ »