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2015年12月 7日 (月)

金沢文庫で一遍聖絵

 遊行寺へ行った次の日(11月29日)、神奈川県立金沢文庫へ「国宝一遍聖絵」を見に行きました。

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 現在、金沢文庫(かなざわぶんこ)と言えば京浜急行の駅名か、駅のあたりの地名ということになっています。 前にわたしが京成電鉄の千葉寺駅近くで「千葉寺はどこですか」と聞いたら千葉寺駅を教えられたように、ここでも「金沢文庫はどこですか」と聞いたら、まず駅の方を教えられるでしょう。
 鎌倉時代このあたりを領していた北条氏の一族(金沢流(かねさわりゅう)北条氏)の北条実時(さねとき、金沢実時ともいう)が、この地に引退後、蔵書を集めてつくった文庫=私設図書館が金沢文庫の起源です。隣にある称名寺(しょうみょうじ)も金沢北条氏が建てたお寺です。当時このあたりは六浦荘(むつらしょう)と呼ばれ、鎌倉の外港として栄えていました。
 北条氏の滅亡後、文庫は称名寺が管理しましたが、次第に衰退して蔵書も散逸しました。しかし明治になってから復興され、現在は「神奈川県立金沢文庫」として、鎌倉時代を中心とした歴史博物館になっています。

 金沢文庫駅から近道を行くとこちらの入口に出ます。

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 この裏側が称名寺で、称名寺の境内から入ることもできます。その場合、こんなトンネルを入ります。

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 これが称名寺側の入口です。

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 金沢文庫のチケットは第三巻第一段、熊野山中で一人の僧に出会う場面です。実はこの僧は熊野権現の化身で、この出会いが一遍の念仏流布の信念を確固にしたということです。

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 これで「一遍聖絵」は全部見たことになります。上野の国立博物館でも「一遍と歩く 一遍聖絵にみる聖地と信仰」という特集をやっていて、それで「一遍と歩こう」スタンプラリーは完結するのですが、ちょっと期限までに行かれそうにありません。

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 お寺を見ても展覧会を見ても、わたしはいつも、信仰とか芸術とかの対象の本質とは関係ないところでおもしろがってしまうのですが、今回もそうでした。

 まずわたしが一遍聖絵を見て感じたのは、これは「ドラゴンクエスト」だということです。旅の一行が、宝を求めて諸国を遍歴し、いろんな経験を積みながら次第に成長してゴールにたどりつきます。
 これが一遍の一行で、先頭が一遍、娘の超二房(ちょうにぼう)、妻の超一房(ちょういちぼう)、下女の念仏房(ねんぶつぼう)と続きます。(第二巻第二段)

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 坊主が諸国修行に行くのに家族連れとはどうなっているのかと思いましたが、一遍は父が死んだとき一度還俗して結婚していたのです。再度出家し、一念発起して旅に出るときには、奥さんも出家していて、後をついてきたという話らしい。最後まで一緒ではなかったようですが、ともかくこんなふうに弟子もふくめて旅する一行の絵から、わたしの頭に浮かんだのはドラゴンクエストでした。巻物をたどっていくのがゲーム画面をスクロールしていく感じと重なります。(第五巻第四段)

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 敵もあらわれます。これは神奈川県立歴史博物館でも紹介した、武士に脅されているところ。(第四巻三段)

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 鎌倉では、一行が鎌倉へ入ることを拒否されました。(第五巻第五段)

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 そして上のチケットの絵で見たように、山中で賢人と出会って知恵を授けられたりもしながら、最後には大往生にいたります。この絵巻が、冒険の旅に出て、数々の困難を克服しながら、永遠の真理に到達するという物語であることは間違いありません。

 もう一点感じたのは、ひょっとすると踊り念仏は「EXILE(エグザイル)」ではなかったか、ということです。「AKB48」でもよろしい。ともかく絵を見てください。
 これが踊り念仏の始まりとされる場面で、信州小田切の里で、一遍が踊り出すと他の僧も俗人も一緒に踊り出したところです。(第四巻五段)

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 それがやがて、舞台の上で僧たちが集団で踊るようになります。鉦鼓(しょうこ)というカネや太鼓をたたきながら、念仏を称えて踊り、それを観客たちが見ています。(第六巻第一段)
 エグザイルというのは、男が団体で歌って踊るというもので、最近の言葉ではダンス&ボーカルユニットというらしい。わたしはよく知りませんが、すごい人気があるようです。踊る念仏だって、団体で念仏を称えて踊るんだから、ダンス&ボーカルユニットだ。

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 どうでしょう、EXILE(エグザイル)の舞台をみんなが見ているような感じがしませんか。これは池の中の舞台です。(第七巻第一段)

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 興行としてやっているように見えるし、これから劇場が興ったという説もあるようです。(第七巻第三段)

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(第十一巻第一段)

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 こうなると踊り念仏の本物を見たくなります。ネットで調べると、現在も時宗のお寺では行っているところがあるようです。
 遊行寺の踊り念仏も、YouTube にいくつか挙げられていました。https://www.youtube.com/watch?v=F9YT2yZEE4U

 しかしこれを見る限り、残念ながらEXILE(エグザイル)のような迫力はありません。どちらかというと盆踊りです。一遍聖絵=ドラクエ説はともかく、踊り念仏=EXILE(エグザイル)説はちょっと無理かもしれません。

 ということで「一遍聖絵」、なかなかおもしろかったので、図録を買いました。

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 詞書(ことばがき)も全部載っているので、そのうちゆっくり読んでみようと思っています。

 

 

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