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2016年1月28日 (木)

海老名中央図書館2

 海老名市立中央図書館は、なかなかいいところだった。
 小田急線海老名駅の西口から徒歩7分。東口が表側で、こちら側はまだ再開発中のようだ。文化会館などが近くにある。

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 丸屋根はプラネタリウム施設で、現在はキッズ・ライブラリーになっている。この日は天気が良く、図書館裏の駐車場方面には丹沢山塊がきれいに見えた。左に大きく見えるのが丹沢大山(たんざわおおやま)である。

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 中に入ると写真撮影禁止なので、海老名図書館のホームページか、ハフィントンポストの写真を見てほしい。
 図書館→https://ebina.city-library.jp/library/
 ハフィントンポスト→http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/30/ebinshi-sokuho_n_8218716.html

 入ると大きな吹き抜けの空間があって、正面に蔦屋書店の平台の展示が広がり、左手にスターバックス、奥が図書館になっている。図書館というより、ちょっとしたショッピングモールという感じだ。ネットであれこれ写真を見ているので、そんなに驚きはないが、ちょっとした見もので、なるほどこれなら古い図書館しか知らない人は驚くだろう。
 改修したばかりだからきれいだし、新刊本にこじゃれた文房具、人気のカフェ、吹き抜けの空間の背景にはずらり本棚が並び、軽い音楽が流れている。「おしゃれな空間」を演出しました、というやつだ。
 駅から7分だからそう近いわけでもなく、まわりに商店街があるわけでもないのに、平日の昼間、けっこうにぎわっている。若い人が多い。
 わたしの第一印象は、なかなかやるじゃないか、というものだった。

 これまでさんざんネットでツタヤ図書館の悪口を読んできた。自分でも選書と分類については批判的なことを書いた。(→驚きの図書リスト驚きの図書リスト2海老名中央図書館1)そのせいか、実際に本の配列を見てもそう驚きはない。細かい指摘はネットで今もされているので、自分であら探しをしようという気は起きなかった。
 ただ、わたしが一番まごついたのはやはりどこに何があるのかよくわからないことだった。パンフレットに下記のような間取り図があるが、図書館内にもこれより細かい中分類の案内はなかった。

Photo
 それに2階、3階はいくつもの小さな部屋にわかれていて、そのつながり方がよくわからない。初めて訪れる者にとってはちょっとした迷路である。
 下の写真は武雄図書館のものだが、海老名も同じようになっていて、こういう小部屋がつながっていた。これで周りの棚、中央の島の棚とぐるぐる回りながら見ていくと、どちらから入ってどちらへ出たのかわからなくなってしまう。わたしはある部屋から本を取り出して、学習室でしばらく読んでから戻しに行こうとして迷子になってしまった。老人性のものを施設のせいにしてはいけないのはわかっている。ここは慣れないと普通の人でもわかりにくいだろうと思う。

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      樋渡啓祐『沸騰!図書館』(角川oneテーマ21、2014、口絵)

 棚の上の方の手の届かないところに、下の本のジャンルと関係なく、全集物や叢書が並べてあるのも気になった。分類と関係なく、ずらりと同じ本が並んだ装飾性を重視しているようだった。中には朝日新聞の縮刷版の古いものが一番上の段に並んでいるところがあった。手の届かないところは係員を呼んでくれということになっているが、図書館内に係員の姿はあまり見かけられない。大きくて重いから地震のときなど危ないし、何冊も調べたいときなど不便そうだ。

 他にも検索画面とか、ちょっと気になるところがあったけれど、基本的に、ここまで通ってこの図書館を利用するわけではないので、よそ者がそうそう文句を言ってもしょうがない。案内が不十分で迷子になったとか、検索が使いにくいのは、慣れの問題でもある。
 選書についても、これから年数をかけて、図書館を常時利用する人々と運営管理者との間でこの図書館の蔵書が積み上がっていくものと思う。
 ただ分類については今でも批判的である。日本十進分類法(NDC)は、先人の知恵や経験を積み重ねて、世界中のありとあらゆる本を分類・管理しようと作られ、時代に合わせて改訂されてきたものだ。ツタヤの「ライフスタイル分類」では、新刊書店の棚ならともかく、図書館の需要には応えきれないだろう。これだけ批判されたので、海老名でもいろいろ検討はされていると思うが、すべての図書をNDCで検索できるようにしたうえで、一部をライフスタイル分類で展示するとかしたらどうかと思う。
 また、選書や分類の他にも、武雄市、海老名市それぞれに指定管理者の選定方法や、経費の問題などで住民訴訟が起きているようだ。それらの問題については、きちんと当局により対応がなされなければならない。

 そういうことを別にして、わたしの見た感じでは、それなりに居心地のよさそうな図書館だった。短時間で1階から4階のキッズ・ライブラリーまで見て(地下を見てくるのを忘れた!)、学習室でしばらく読書をしてきただけでえらそうなことを言ってはいけないが、若い利用者が多く、雰囲気が明るくて、平日なのにけっこうたくさんの利用者がいたことなどから、これは成功ではないかと思われた。
 図書館というと、暗くてしーんとしていてというイメージを一般に持たれているが、それを蔦屋書店とスターバックスの存在が打破した。今のにぎわいが、開設当初の物珍しさだけでなく、両店及び図書館の営業努力により継続していけば、今までにない明るく活気ある図書館になるのでは、と期待したい。
 年中無休で、開館時間は午前9時~午後9時というのも、ブラック企業みたいなことになっていなければすごい。
 今後客足が落ち、にぎわいが薄れていく恐れがないわけではない。両店が赤字で手を引くようなことも起きるかもしれない。そういうときにも行政は図書館を見放すようなことのないよう、また両店も行政に赤字の始末を押しつけることのないよう、念のため願っておく。

参考: 部屋の写真を引用した『沸騰!図書館』(樋渡啓祐(ひわたしけいすけ)、角川oneテーマ21、2014)は、ツタヤ図書館をつくった、当時の武雄市長の本。

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 ツタヤ図書館を構想し、議会や職員と戦いながら、実現に到るまでのサクセス・ストーリー。市長の自画自賛本と言ってもいい。それなりにおもしろいが、これまで紹介したような図書館についての批判と同時に、市長個人についてもあれこれ批判が出ているところなので、この本を鵜呑みにするわけにはいかない。
 愛知県小牧市では住民投票でツタヤ図書館が否決されたが、この3月には宮城県多賀城市で第三館目、12月には岡山県高梁市で第四館目が開館するという。
 ツタヤ図書館が新しい図書館の形として定着するのかどうか興味深い。どこかでこれを見習った新しいカフェ型図書館が出てくるかもしれない。わたしの懐事情では、スターバックスよりドトールの方がいいのだけれど、近所に誰かつくってくれないものか。

 

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