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2016年5月30日 (月)

「家族はつらいよ」

 5月20日映画「家族はつらいよ」を見た。

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 山田洋次監督で、「東京家族」と家族の構成は同じ。橋爪功吉行和子の夫婦がメインで西村雅彦夏川結衣が長男夫婦、中嶋朋子林家正蔵が長女夫婦、次男の妻夫木聡の恋人が蒼井優となっている。
 小津安二郎の「東京物語」を現代版にしたのが「東京家族」で、さらにそれを喜劇にしたのが「家族はつらいよ」なので、先の二作を見ているととてもわかりやすい。見ていなくても楽しく笑える。

 モーレツサラリーマンの後、隠退生活をおくっている一家の主人(橋爪)は、昔ながらのワンマンで、脱いだ靴下も片づけないし、妻に優しい言葉などかけたことがない。しかし家族のために必死でがんばってきたことなど、わざわざ言わなくてもみんなわかってくれていると信じていた。
 ところが、誕生日のプレゼントを忘れていたことから妻に欲しいものを聞いてみると、なんと答えは「離婚届」だった。困っているところへ、長女は夫ともめごとが起こって駆け込んで来るし、独身の次男は恋人を紹介しようと家に連れてくる。家族会議を開けば、長男夫婦の間にこれまでの不満が噴出してしまうし、果ては主人の浮気の疑いまで発生、とドタバタ大騒動…というのがあらすじ。

 家族それぞれの本音がはしなくも暴露され、言葉の行き違いや感情のすれ違いから抜き差しならないところまで行ってしまいそうになっても、そこは山田洋二の作品なので、最後はきちんと収まるところに収まるのだろうと安心して笑っていられる。笑わせながら観客に家族というものを考えさせる、みんな不完全な人間でそれぞれにエゴがありから、ぶつかったり喧嘩することもあるけれど、なんとかやっていく、やっていけるのが家族なんだよ、ということでしょう。
 このあたり、若い頃なら生ぬるいと感じたところだけれど、程良い加減でまとめられていると感じるのは、やっぱり歳のせいだろうか。

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 登場人物の言葉遣いが、現代の横浜市青葉区の住宅地にしてはちょっと古くさく、丁寧で柔らかい。小津安二郎の映画のようだったけれど、違和感は感じず、これも歳のせいだろうが、逆に落ち着いて感じられた。だから修羅場で飛び交う言葉も笑って聞けた。これをリアルにやったら、ずっと下品でいやな感じになっただろう。
 話のつなぎの場面では、何かにぶつかる、つまずく、階段を踏み外す、物を落とすなどの古典的なギャグが多用される。寅さん映画でもそうだった。これも若い頃はマンネリだ、古いと感じていたものだった。それが今では、これは定番のくすぐりの技として評価していいと思うくらいになった。昔から奇をてらっただけのあざといギャグは嫌いだったけれど、歳とともに映画の見方も変わるものだ。進歩か退行か知らないが。

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