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2016年12月19日 (月)

「君の名は。」

 12月8日、地元の映画館で「君の名は。」を見た。
 ポスターを見るだけで、わたしのような高齢者はお呼びでないことはよくわかる。わたしもこのポスターを見ても、見たいという気にはならない。しかし大ヒットしているというので、どんな映画なのか気になって見に行った。

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 なるほど、平日の昼間、いつもなら私と同年配かそれ以上くらいの年齢の客が十数人というところが、三十人ちょっとは入っていて、しかも女子高校生まで含めてけっこう若い人がそこそこいた。
 見る前は宣伝文句などから、単純に東京と田舎の男女高校生の入れ替わり物語で、双方でドタバタがあって、やがて恋が芽生え…みたいな話だろうと思っていた。
 ところが見てみると、基本はそのとおりなのだが、もっとずっと複雑なストーリーになっていて、全体の話を理解できたのは終わり近くになってからだった。

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 (以下ネタバレあり、ご承知を
 はじめのうちは、東京に憧れる田舎の女子高校生三葉(みつは)と東京の男子高校生瀧(たき)が、断続的に入れ替わってしまうことでドタバタを繰り返す。女子高校生は神社の巫女までやっているというカントリーライフで、男子高校生のアーバンライフとは対照的。そして入れ替わりを繰り返す中で徐々にお互いの生活や人となりを知り、やがて惹かれ合うようになる、という想定内の展開である。
 しかし、田舎では祭が行われていて、大きな彗星が大接近した夜以後、二人の入れ替わりは起こらなくなってしまい、瀧は記憶している風景をたよりにあの田舎を探して、三葉に会いに行こうとする。
 ようやくたどりついた場所は、三年前彗星の一部が墜落して住民共々消滅した集落だった……三葉と瀧の間には三年の時間のずれがあった――瀧は三年前の三葉と入れ替わっていたのだった。

 ここがポイントで、わたしは驚き、やられた!これはSFだったんだとようやく気付いた。
 空間も時間も飛び越えて人の意識が交錯し、交流する、そんな話は若い頃読んだSFにはよくあったような気がする。よくあったというと語弊があるかもしれない。そっくり同じような話があったとかいうわけではない。SFのテーマとしてそう珍しいものではなかったと言い直してもいい。
 人間の入れ替わりがそもそもSFなんだから、はじめからSFのつもりで見ればこんな驚きはなかったかもしれないが、高校生の青春純愛ドラマだと思い込んでいたので不意をつかれた。

 瀧は残っていた神社で再び三葉に入れ替わることに成功し、三葉の友人たちと村人たちを避難させようとする。しかし大人たちは言うことを聞いてくれず……あらすじはここまでにしておこう。

 SFなんだと思ってからは、細かいところはともかく、話はよくわかるような気がした。
 田舎の民俗=巫女・伝説などと都会の高校生の生活を対照させ、彗星による大災害―明らかに東日本大震災―を回避しようとする若者たちの奮闘、災害後の人々の結びつき、そして時空を越えての男女の愛。背景にはアニメの美しい風景がたくさん。
 多くの人々の共感を得られるたくさんの要素を盛り込み、入れ替わりや彗星の墜落で、果たして次はどうなるのかと興味を引っ張り、三年の時差というどんでん返しがあって彗星の墜落というクライマックス。さらに月日が経過した後、それらの記憶をすべて失っている二人が出会うという、ちょっと甘いラスト・シーン。
 よく作ってある映画である。 

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 ただわたしは、この映画にいまいち深入りできなかった。全体におとなしいのである。いろんな要素がからんでいてもストーリーの展開にハラハラドキドキ感がない。クライマックスの彗星の墜落シーンにもほとんど驚きはなかった。なんでも波瀾万丈ならいいということではない。描かれている生活や物語に「芯」が欠けているような感じがしたのである。きれいでおとなしく淡々と――「草食系」という言葉が今までよくわからなかったが、こういうのを「草食系」というのかもしれない、と思ったりした。
 映画が大ヒットしているということは、この感覚が広く受け入れられているということで、もう年寄りには理解できないということかもしれない。それもしょうがないか。若い頃、六十、七十の年寄りが時代の先端にあるものを理解できるなどとは思ってもみなかったことだし――

 

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