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2017年1月23日 (月)

トランプ予言

 アメリカの新大統領で日本のメディアは大騒ぎだ。

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 隣の国の大統領が変わったというだけでどうしてこんなに大騒ぎしなければいけないのか。言ってみても無駄なことで、しょせん日本はアメリカの属国。安倍首相が強引に可決したTPP法案も新大統領の一言であっさり葬られてしまうくらいだから、宗主国の頭領様のお考えやおやりになることをあれこれ忖度したり、鼻息をうかがったりしなければならないらしい。
 だいたいアメリカ人も、なんであんな「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のいじめっ子を大統領にするんだ、ドラえもんのジャイアンを総理大臣にするようなもんじゃないか。

 腹立ちついでに、トランプの四年後を「予言」してみることにする。ほとんど根拠のない、「カン」に基づいたもので、当たるも八卦当たらぬも八卦、トランプ占い、トランプ予言というところだ。だから当たらなくても何の責任もとらないことは最初に断っておく。

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1 トランプの政策はうまくいかない。
 スタートの時点でこれだけ反対者がいて、しかもメキシコに壁をつくらせるとか、できそうにない政策をたくさんかかげている。無理に実行に移そうとすれば、あちこちで軋轢が生じ、対立は拡大するばかり。実行できなければ支持者も離れていく。

 そもそも就任演説のこれはなんなんだ。

何十年もの間、私たちはアメリカの産業を犠牲にし、外国の産業を豊かにしてきました。他の国々の軍隊を援助してきました。一方で、アメリカの軍隊は、悲しくも枯渇しています。私たちは他の国の国境を守っていますが、自分たちの国境を守るのを拒んでいます。海外に数兆ドルを投資しましたが、アメリカのインフラは絶望に陥り、腐っています。他の国々を豊かにしましたが、自国の富、力、自信は、地平線のかなたへ消えて行きました。(訳は「ハフィントン・ポスト」から)

For many decades, we've enriched foreign industry at the expense of American industry; subsidized the armies of other countries while allowing for the very sad depletion of our military. We've defended other nation's borders while refusing to defend our own and spent trillions and trillions of dollars overseas while America's infrastructure has fallen into disrepair and decay.

 アメリカが犠牲となって他国に富をむしり取られている? どこのアメリカの話だ。先日「世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産とほぼ同じだった」というニュースが流れたばかりだ。この8人は以下のとおりで、うち6人はアメリカ人だ。

1位:ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者)
2位:アマンシオ・オルテガ(スペインの実業家。ZARA創業者)
3位:ウォーレン・バフェット(投資家)
4位: カルロス・スリム・ヘル(メキシコの実業家。中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビルを所有)
5位:ジェフ・ベゾス(Amazon.com創業者)
6位:マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)
7位:ラリー・エリソン(オラクル創業者)
8位:マイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長)http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/15/eight-men-own-half-the-worlds-wealth_n_14194250.html

 地平線のかなたに消えた富が、まわりまわってアメリカの富豪のふところと租税回避地にあることぐらい新大統領だって知っていると思うんだが、本当に知らないんだろうか?
 金融やITをはじめグローバリゼーションで一番稼いでいるのはアメリカで、世界中から富を集めている。なのにそこで保護主義? 
 儲かっているところはそのままにして、赤字のところだけ高い関税にするようなご都合主義の保護主義を一時的に力で押し通したとしても、いつまでも無理は通らない。それにアメリカは赤字だと言いながら、もうけている外国の会社はアメリカ資本だったりするんじゃないか。

 製造業の雇用を増やすと言っているが、そもそもITなどアメリカの最先端技術は、グーグルの自動運転車、アマゾンのドローンによる無人配達など現場の労働力を減らす方へ減らす方へと向かっている。人工知能(AI)が人間を超える技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年にもやってくるとも言われている。
 だから就任演説で、

 生活保護を受けている人たちに仕事を与え、アメリカの労働者の手と力で国を再建します。

 We will get our people off of welfare and back to work – rebuilding our country with American hands and American

 こう言ってみたところで、人間の労働を減らす長期の流れは止まらない。将来的にはAIと機械が生産労働に従事し、普通の人々は、生活保護ではなく、ベーシック・インカムを支給されて暮らすようになるだろう。SFが実現する。わたしの生きているうちには無理だろうがきっとそうなる。ついでに予言しておこう。

2 流れは変わる。
 うまくいかない政策をゴリ押しすることによって、アメリカ社会に混乱が生じ、それは世界にも波及する。
 トランプが当選したのは、ザッツ・エンタテイメント、選挙ショーとして楽しまれたからだけではなく、社会の閉塞感をともかく打破してほしいという人々の意志のあらわれでもあったのだろう。だからその期待感に沿って、ともかく社会は変わる方へ動く。しかしそれがいい方向に向かうか悪い方向に向かうかは今の時点ではわからない。
 あんまり具体的に悪い未来――核戦争が起こるとか予言すると、予言が当たることを期待するようになる=呪いをかけることになるので、言わないことにする。混乱が良い方向へおさまっていくことを期待する。

3 4年の任期をまっとうできない。
 政策はうまくいかない。反対者はさらに多くなる。下手をすれば内乱状態で、共和党からも見放され、任期途中で辞任することになる。最後までなんとかしがみついていたとしても再選はない。
 アメリカのことだ、不慮の事故や暗殺だって起こりうる。国内の反対派からISのテロまで、いろんなケースが考えられる。
 これまで読んだスパイ・スリラーなどの知識を元にすると、言うことを聞かない新政権にうんざりしたCIAが、ISのテロリストを手引きして実行させる、という筋書きが最も実現性が高いのではないか。しかしこれも呪いにならないよう、予言ではなく、スパイ・スリラーの話にとどめておく。

 以上、新味も深みもない予言だが、書いておかないと、後日このとおりになったとき、「ドーダ、おれの言ったとおりだろう」と言えないので、とりあえず書いてみた。それに四年もたつと、何を考えていたか忘れてしまっているかもしれない。
 後になって結果が出てから、「おれはこうなると思ってた」とか「あの株は絶対上がると思ってた」とか言うやつがよくいるが、証拠もなしに言われたところで信用できない。たいていの場合はそうなると確信していたわけではなく、可能性のひとつとして考えていたくらいの話を、さもはじめからわかっていたかのように言っていることが多いようだ。
  今回は証拠をきちんと残して、当たったときには「ドーダ」と自慢し、はずれたときには忘れることにしよう。

 鹿島茂の『ドーダの人、小林秀雄』(朝日新聞出版、2016)は、昨年読んだ本の中で五本の指に入る面白い本だった。
 「ドーダ」というのは、「ドーダおれはすごいだろう。ドーダまいったか!」というときのドーダである。自己愛の表出であり、すべての表現行為の基本にある。小林秀雄の著作は外国語自慢の外ドーダや晦渋な言葉を並べる難解ドーダなど各種のドーダでできており、ほとんどそれだけだ、というのが鹿島の小林秀雄解釈で、非常に納得できた。
 わたしも「ドーダ」と言ってみたい。

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