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2017年2月23日 (木)

一人の方の本

 大阪の私立小学校への国有地の払い下げをめぐって、国税のトリクルダウンが起こっているのではないかと騒がれている。最近ようやく大手メディアも取り上げるようになってきた。安倍首相は「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と国会で述べたそうだ。。
http://www.asahi.com/articles/ASK2K562KK2KUTFK00Z.html

 同じような答弁が、この本が発行されたときにもあった。金正男暗殺事件もあったので、ちょっと引っ張り出してみた。
 『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社、2015)
 拉致被害者の蓮池薫さんの兄、もと家族会の事務局長でもあった蓮池透氏の本である。

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 こんな題の本を出して大丈夫か、というのが本屋で見かけた時の最初の感想で、下手すると出版差し止めになるかもしれない、早めに買っておこうとその場で買った。

 著者がこの題名で言おうとしたことは、次の文章に要約される

 世間では、北朝鮮に対して当初から強硬な姿勢をとり続けてきたと思われている安倍首相は、実は平壌で日本人奪還を主張したわけではない。(中略)安倍首相は拉致被害者の帰国後、むしろ一貫して、彼らを北朝鮮に戻すことを既定路線として主張していた。弟を筆頭に拉致被害者が北朝鮮に戻ることを拒むようになったのを見て、まさにその流れに乗ったのだ。そうして自分の政治的パワーを増大させようとしたとしか思えない。
 いままで拉致問題は、これでもかというほど政治的に利用されてきた。その典型例は、実は安倍首相によるものなのである。(p53)

 この本について国会で民主党の緒方議員からの質問を受けた安倍首相とのやりとりが産経ニュースの頁にある。(2016年1月12日の衆院予算委員会)

安倍晋三首相は12日午前の衆院予算委員会で、北朝鮮による日本人拉致問題をめぐり、民主党の緒方林太郎氏から「拉致を使ってのし上がったのか」と問われ、「議論する気すら起きない。そういう質問をすること自体、この問題を政治利用している」と切り捨てた。また、この問題を巡る自身の発言について「真実だ。バッジをかける。言っていることが違っていたら、国会議員を辞める」と覚悟を示した。
http://www.sankei.com/politics/news/160112/plt1601120061-n1.html

 最後に首相は「政治利用」との指摘に対し、「こんな質問で、大切な時間を使って答えるのは本当に残念だ。1人の方の本だけで誹謗中傷をするのは、少し無責任ではないか」と述べ、怒りがさめやらぬ様子だった。
http://www.sankei.com/politics/news/160112/plt1601120061-n4.html

 「1人の方の本だけで」云々(うんぬん)というのは、まったくそのとおりだ。民主党の議員は「この本に書いてあることは本当か」と聞いているだけで、他に裏付け資料やその他の証言もなく、まるで芸がない。少しは調べたらどうか。簡単にあしらわれて終わってしまった。
 一人の方の本とはいえ、読んでみると、弟の行方不明以来ずっと苦労してきたことだけでなく、役所・政府の対応から「家族会」や「救う会」の運動の内情まで、具体的に書かれていて、テレビや新聞では報道されてこなかった裏側をかいまみることができる。
 無論違う立場からの違う見方もあるだろうが、拉致に翻弄されながら立ち向かってきた「一人の方の本」として貴重なものである。
 現在も安倍首相は辞めてないし、蓮池氏もこの本が誤りだったとは言っていないから、真相はあきらかになっていない。
 真相が明らかになるより、拉致問題が解決することの方が重要だけれど、そちらもさっぱり進展していない。最近の報道は北朝鮮と言えば核にミサイルで、さらにこの連日は金正男事件ばっかり。拉致問題のことはほとんど忘れ去られたように見える。
 しかし今日(2017/02/22)の東京新聞朝刊には「家族会きょう首相と面会」という記事があった。もう待てない。救出期限を「今年中」と決めて対応してほしいとの趣旨である。家族の苦難は続いている。

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 上の記事の担当大臣の言葉には「安倍政権は拉致問題に最優先で取り組む」とある。以前、拉致問題の解決は安倍政権の「一丁目一番地」だと言っていた記憶がある。最近はさっぱり聞かない。どうかがんばっていただきたい。

 話は変わるが、この「一丁目一番地」という表現が嫌いだ。最優先課題がどうして「一丁目一番地」なのか、二丁目三番地はどうでもいいのか。気のきいた表現とはとても感じられない。
 「一丁目一番地」と言えば昔のNHKのラジオドラマを思い出す。「ちょっと失礼おたずねしたい、ここらは何丁目何番地…」という主題歌があった。
 志村けんを思い出す人もいるらしい。あれは「イッチョメ、イッチョメ」で番地は出てこない。どちらにしてももう若い人は知らないけれど。

 おまけ:東京新聞の斎藤美奈子の「本音のコラム」切り抜き、2016/07/17「泥沼化の背景」

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