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2017年5月22日 (月)

JB51 悪魔の辞典2

 ビアスの『悪魔の辞典』にならった辞書形式のパロディ本はたくさんある。そのうち「悪魔」と名乗っている本を紹介する。この他にもたくさんあると思う。

194 噴飯 惡魔の辭典

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    (書名)  噴飯 惡魔の辭典
      (著者)  安野光雅、なだいなだ、日高敏隆、
                       別役実、横田順彌

      (出版者) 平凡社
      (形状)    115×170mm ソフトカバー
      (頁数)    314
      (出版年)  1986/05/15
            1987/09/17、7刷

・平凡社の雑紙「アニマ」に連載された「競作・惡魔の辭典」に加筆されたもの。
 五人の筆者が同じ項目について、他の筆者の原稿を見ることなく書いたものという。
 五人それぞれの書きぶりでおもしろい。しかしさすがに五人揃ってこれはうまいと感心させられるところまではいかない。

アカデミズム】 academism
学問・芸術を登山にたとえれば、その道は完成し、頂上は極められ、その方法の規範は成立を見たのであるから、今後登山を試みるものは、先人の苦労を追体験することで充分であり、それ以外の試みは、無駄であるばかりか、危険で、有害でさえあると定める、有難い考え方。(A

いわゆる大学らしさのもろもろのことだが、一番それらしいのはなんといっても、やさしいことをわざわざ難しく言う、この世界での習慣である。また、仲間の足を引っ張り、学生をいじめることに快感を覚えるのは、この世界に棲むものの常識であり、文部省から金をぶんどってくる能力を高く評価することも同様である。(N)

売れそうもない本を誉めるときのことば。(H)

学問・芸術を志す人間が、当初「そうなることだけは避けよう」と心掛けながら、いつの間にかそうなってしまっている境地のことであり、そうなったらそうなったで、そうでないものの方が間違っているように思える境地のことである。(B)

たとえば、卒業論文などで、「各人種間に於ける排泄物の分析及び比較研究に見る人類進化の歴史とその未来」というタイトルがついていれば、なんの疑問もはさまず教授は受け付けるが、全く内容は同じでも「大小便こぼれ話」というタイトルでは、頭から受け付けてくれないような傾向のこと。(Y)(p12)

 

195 当世悪魔の辞典

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    (書名)  当世悪魔の辞典
      (著者)  別役実
      (出版者) 朝日新聞社
      (形状)   文庫
      (頁数)    282
      (出版年)  1995/12/01

・劇作家別役実単独の悪魔の辞典。「194 噴飯 惡魔の辭典」に収録された別役記述の項目も含まれている。

【ゲリラ】gurrrilla
語源は下痢の複数形。正規のものではなく、神出鬼没であり、時と所を構わず出たがる傾向にある。そして、誰もこれを防ぐことは出来ない。(p65)

【養老院】ようろういん
かつて人々は、老人をかついでわざわざ山の中に捨てにいった。しかし現在、人々は、敬老の精神を失ってその労すら惜しみ、しかたがないので最近の老人たちは、自分で歩いて、自分で買った養老院に入る。(p293)

 

  

196 悪魔のささやき医学辞典

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    (書名)  悪魔のささやき医学辞典
      (著者)   稲田栄一、LiSA編集部 編
      (出版者) メディカル・サイエンス・インターナショナル
      (形状)    新書
      (頁数)    148
      (出版年)  1996/04/01
            1998/03/13、4刷

・凡例にはA.ビアス二世の『悪魔の医学辞典』の部分訳と書いてあるがもちろん嘘。「LiSA(Life Support and Anesthesia)」という麻酔を核とした総合誌LiSA(リサ)に連載されたもの。麻酔関係の総合誌というのも世の中にはあるんですね。雑紙現物を見たことはありません。

・従って麻酔関係の医学用語ものが多い。従って仲間うちで受けるだろうと思われる内容が多いのもやむをえない。

ますいかい【麻酔科医anesthesiologist, anethetist
手術室では普段「縁の下の力持ち」などとおだてられているものの、手術の成功は外科医の腕であり、失敗は麻酔のせいにされるという、損な役回り。
 人を相手にするとはいえ、感覚脱失状態の人間とさまざまなモニター類を介して接することから、生身の人間よりもコンピュータを愛する傾向がある。それではいけないということで、ペイン外来で感覚のある患者と接するようにしたものの、ひとたびコンピュータを最良の伴侶と考えるようになった麻酔科医には不評をかっている。ちなみに”医師の結婚したい女性の会”の統計によると、男性麻酔科医の85%が不感症の女性を好む傾向があるという。 (-121)

ますいじこ【麻酔事故】 anesthetic accident
麻酔科医が、マスコミや小説の中で活躍することのできる唯一の設定。(p122) 

 

197 続悪魔のささやき医学辞典

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    (書名)  続悪魔のささやき医学辞典
      (著者)   稲田栄一、LiSA編集部 編
      (出版者) メディカル・サイエンス・インターナショナル
      (形状)    新書
      (頁数)    194
      (出版年)  1997/11/25

196悪魔のささやき医学辞典の続編。

・仲間うちの冗談はどうしてもブラック化、自虐化していく傾向にある。

げかい【外科医】 surgeon
手術患者の運命を決める医者。「人はいいが腕の悪い外科医」と「人は悪いが腕のいい外科医」、「手術時間は短いが出血量が多い外科医」と「手術時間は長いが出血量は少ない外科医」など、患者・麻酔科医にとって究極の選択を迫られる場合が多い。(p49)

ポンピング【手動急速注入】 pumping
「外科医への怒り」「絶え間ない吸引音への恨み」「残された輸血単位数への不安」「血液センターからの距離と時間がもたらす焦り」「ようやく下がらなくなった血圧とヘマトクリット値への希望」「終わらなかった手術はない、という信条に支えられた忍耐」「睡魔が訪れる隙もない肉体的精神的な緊張と疲労」…などとともに行われる、時に孤独な祈り。(p154)

 

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