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2017年5月29日 (月)

JB53 筒井康隆の辞典

 筒井康隆版悪魔の辞典。これはおもしろいに決まっている。わたしは若い頃から筒井のファンである。


198 欠陥大百科

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    (書名)  欠陥大百科
      (著者)   筒井康隆
      (出版者) 河出書房新社
      (形状)    四六判
      (頁数)    239
      (出版年) 1970/05/10

・これは辞書仕立てになっているが、雑文集のような内容になっている。ことばの定義で遊ぶ短い項目より、ショートショートや、エッセイのような長い項目の方が多い。あちこちに書いたエッセイなどを辞書の形式にまとめたものか。

・筒井自身のマンガ「90年安保の全学連」と「筒井順慶」も収録。小さめの活字二段組で読み応えがある。

・この本はなぜか筒井康隆全集に収録されておらず、文庫にもなっていないようだ。最近「筒井康隆コレクション」(出版芸術社、2015)に収録された。

・「筒井康隆コレクション」の著者による後記にはこう書かれている。
「「欠陥大百科」のほぼ中心になっているのは週刊誌「平凡パンチ」にあちこち取材して連載したアングラ社会学講座の諸項目である。そのほか週刊誌や雑誌に書いたものを小説エッセイの区別なく掻き集めて一冊にした。タイトルを大百科としたのも、本を出したい編集者と余力のない小生が考えた苦肉の一策であった。」(p592)

 

いちもんいっとう<一問一答>
 世界でいちばん短い怪談。
A「幽霊なんて、いるものか」
B「そうかね。ひひひひひひ」
 そういってBが、どろんと消えた。
      ○
 このまねをして、ある人が世界でいちばん短い推理小説を作った。
A「君が犯人だ」
B「そうだ。わたしが犯人だ」
      ○
 つまらないことおびただしい。こんなものなら誰だって作れる。たとえば世界でいちばん短いSF。
A「君は誰だ」
B「わたしは宇宙人だ」
 世界でいちばん短い一問一答。
A「や」
B「や」
(P15)

 

かみ<紙・髪・神>
 汚した場合、罰を受ける恐れがあるから、ヘア・シャンプーで洗ったり賽銭をやったりすればよいが、日本国中どこにでもあるものだから、さほど気にする必要はない。ただしよく燃えるから火事に注意すること。(P54)

 

セミ・ドキュメント
 セミの一生を記録した映画。(p138)
 

199 乱調文学大辞典

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    (書名)  乱調文学大辞典
      (著者)   筒井康隆
      (出版者) 講談社
      (形状)    四六判
      (頁数)    187
      (出版年) 1972/01/28

・これはちゃんと文学辞典の形式をとったパロディ集である。

・この時代に流行った作家とか芸能人などを茶化した部分は若い人にはわからないだろう。時代の先端を行く「笑い」はすぐ風化してしまう。

・巻末付録と銘打った「あなたも流行作家になれる」が半分ぐらいの分量がある。これもまともな案内ではなくパロディだけれど、冗談の中に作家としての本音も垣間見えておもしろい。

げんじょうふざいしょうめい[現状不在証明] アリバイのことで、推理小説に於ては最も犯人に間違われやすい人物が、必ず持っていないもの。(P38)

ござんぶんがく[五山文学] 山田風太郎、山口瞳、山手樹一郎、山崎豊子、山岡荘八の五作家の作品の総称。作品、作風において共通するものや関連性は何もない。(p41)

さんしろう[三四郎] 夏目漱石作。九州から上京した小川三四郎の姿三四郎となるまでの柔道に賭けた青春を描く。(p45)

ならやまぶしこう[楢山節考] 未来における最大の問題、老人問題の解決方法を暗示した傑作。(p72)

はいかい[俳諧・誹諧・徘徊] 俳句をつくろうとして歩きまわること。(p76)

モンテスキュー オバキューと同じく、バーベキューの一種。(p94)

 

199.1 乱調文学大辞典(文庫版)

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    (書名)  乱調文学大辞典
      (著者)   筒井康隆
      (出版者) 講談社
      (形状)    文庫版
      (頁数)    195
      (出版年) 1975/12/15
           1982/11/30、19刷

・199の文庫版。吉行淳之介が解説を書いている。

200 現代語裏辞典

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    (書名)  現代語裏辞典
      (著者)   筒井康隆
      (出版者) 文藝春秋
      (形状)    四六判、函
      (頁数)    445
      (出版年) 2010/07/30

・一項目が非常に短い。長くても三行程度。だから帯にあるように「驚異の12,000項目」になるのだろう。

・インターネットの会議室に読者から寄せられた着想による項目が約2,200項目あるそうだ。

 

あおにさい【青二才】 まだ人を噛んだことがない、二才になった青大将。(p007)

きだみのる 一つの小説に、差別語とされるものがふたつも含まれる題名をつけた作家。(p054)

しゅうごうてきむいしき【集合的無意識】 すべてを歴史と民族のせいにした考え方。(p140)

タレント【talent】 最近ではドラマに出る「俳優」と区別して、バラエティ番組だけの出演者を「タレント」と言っている。もちろん何のタレント(才能)もない。(p211)

ちょうとうは【超党派】 それぞれの党にとってさし障りのないことのみを議論すること。(p224)

ぶしゅ【ぶしゅ】 おかんむり、あきまへん、よだれ、みがまえ、ひんにょう、であいがしら、などはない。(p339)

みんしゅしゅぎ【民主主義】 現在の日本は民主政治ではなく世襲政治。封建制復活か?(p386)

むいしき【無意識】 フロイト考案の、悪事の言いわけ。(p386)

 

 

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