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2017年9月 4日 (月)

右も左もわからない2

 わたしの若いころは、こういう左から右への区分が一般的に了解されていた。

極左(中核・革マル派など)―共産党―社会党―民社党―公明党―自民党―右翼諸派

 この配置図をもとに政党をみる癖がついているから、最近のネットでの罵詈雑言がよく理解できなかった。
 ツイッターをたまにみていると、政治的な発言にはよく反対派からの罵倒の言葉が投げつけられている。中には読んでいると胸が悪くなってくるようなものもあるから、そんなに一生懸命は読まないようにしているが、その罵倒のうちに「極左日教組」とか「極左共産」とかいう言葉がある。ときどき民進党まで「左翼」と呼ばれている。
 いったいこれはなんだ。日教組のどこが極左だ。教員の組織率も下がってたいした活動もしていないだろう。それが諸悪の根源のように言われたりする。そんなに日教組が強いなら教員の過重労働が騒がれることもあるまいに。なんで民進党が左翼なんだ。前原新代表と自民党とどこが違うのか。年寄りにはよくわからない。
 そう感じていたが、若い人にはわれわれのような左右の政党配置図がないのだと知ってなんとなく納得がいった。「極左」というのは左翼の中で最も左に位置するという属性を示すのではなくて、「左翼」の単なる強調語なのだ。思想は関係なく政府に反対するのが「左翼・サヨク」で、「左翼」という言葉そのものが悪口になっている。「悪―極悪」、「左翼―極左」ということらしい。

 この、思想に関係なく政府に反対するのが「左翼」あるいは「サヨク」で、それがけしからん、という考え方が、ネット界隈ではかなり力を持っているらしい。
 最近違うニュースで週刊誌を騒がした今井絵理子参議院議員は、その前にこんなツイートを発していた。

Photo_3

 「批判なき選挙、批判なき政治」?? ――大政翼賛会? 
 「子どもたちに堂々と胸を張って見せられるような選挙応援? ――今の選挙応援はそんなにひどいのか?
 ネットでは、意味がわからない、おかしいと炎上する一方、こういう考え方をする若者もたくさんいるのだという解説もなされた。
 そういう若者たちにとっては、「批判」は和を乱すとか喧嘩を売るという意味になるのだそうだ。理屈も事実の検証も関係ない。ともかく政府を批判するやつはみんな「サヨク」でけしからんということになっていくらしい。そして政府の足を引っ張るから「反日」ということにもつながっていくようだ。若い者の気持ちをわかってやれと言われても、とてもわかってやれない。

  『日本会議の研究』の著者菅野完によれば、日本会議に結集する人々をまとめているのは「なんとなくサヨクは嫌いだ」という気分なのだそうだ。
 日本会議の上層部にはそれなりの思想や理論があるけれど、動員されて集まってくる各種の宗教団体などには団体固有の思想信条があって、そういう理論に惹かれて集まっているわけではない。それぞれの団体に共通するのは「なんとくサヨクは嫌いだ」という感情で、それを基にしたゆるい集まりにすぎない。実際に武道館の1万人集会などに各団体が動員した観光バスで集まってくるのは、久しぶりの東京見物を喜んでいるような年寄りたちが大半で、先鋭な政治意識を持った人々などではないという。(https://www.youtube.com/watch?v=oSmOHazng68
 しかしこうした運動を通じて、選挙の集票マシーンとして大きな役割を果たすようになり、それを利用する政治家を次第に取り込んでいった結果、大きな影響力を持つようになったということらしい。
 菅野のこの説が正しいのかどうか、わたしに検証はできないけれど、批判が嫌いな若者たちもそのうち一緒に動員されるようになっていくのだろうか。

 右でも左でも、論理の筋道をたどることや事実の検証をおろそかにして、感情だけで政治を動かすのは危ない。

 

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