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2017年12月14日 (木)

江南12 講演会

講演会
 次は蘇州大学での講演会である。これは漢詩愛好団体を探す中でM社が見つけてくれた話。日本の漢詩についての研究がある先生がいて、講演をしてくれるというのだ。関西の大学の客員教授をしていたこともあり、日本語もできる。
 比較文学をやっている人で、論文のリストを見ると、「古代東亜漢文化圏中の懐風藻」とか「幕府執政者意識形態と日本五山漢詩」とか、わたしなど読んだこともなければ読めそうもない日本の古典が出てくる。こんな先生に日本の漢詩について講演をしてもらえればさぞ面白いことだろう。ぜひ、とお願いした。

 訪問した蘇州大学のキャンパスはそんなに広くもなかったが、ここだけではなく他にもあって、けっこう大きな大学らしい。

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 通された教室は小さめで、いろんな掲示物があって、大学というより高校の教室のような感じがしたが、中国ではこんなふうに使っているのかもしれない。
 教授のゼミの学生だろうか、若者が七、八人いて、お茶を出したりしてくれた。

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 これが講演をしてくださったG教授。演題は「同化と異化―日本漢詩と中国古典詩歌伝統」で中国語で行われた。

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(講演概要)日本人は中国の漢詩を受け入れて、一方では同化したが、他方では日本的なものを取り入れて異化した。日本は外来文化を表面的には拒まない。しかし選択的に受け入れる。バランスが良い。
 「摂取醇化」―作者も読者も日本人だから日本人に見合うものになっていく。中国では「志(陳述心志)」を表すが、日本では「心」を表す。内面的な「あわれ、わび、さび」が日本の漢詩にあらわれる。
 「和習」=「和臭」にはミスの和臭とわざと作った和臭がある。菅原道真は「晩秋二十首山寺」であえて韻を踏まなかった。和魂漢才的主張である。石川丈山の「富士山」は和臭の代表。日本人の心を書いた詩で中国人の感性にはない。中国のまねの和臭から、和漢を配合して発展させた内容になり、中国の漢詩とは違う漢詩になっている。(ICレコーダーで録音していたつもりだったのに、なぜか録音されていなかった。不覚だった。)

 教授は高度に完成した「和臭」に好意的だった。現在日本で漢詩を作っている人間にとって「和臭」は排除しなければならないもので、われわれ初心者は「それは和臭だ」といつも怒られている。だからなんとなくうれしかったが、初歩的な「和臭」が認められたわけではない。
 教授の著書「橘与枳」は「南橘北枳(なんきつほくき)」―江南のおいしい橘を淮水以北に植えると食べられない枳(からたち)になってしまう。人は環境次第で良くも悪くもなると―という成語からきている。日本の漢詩は、味は変わったが、それなりに食べられるということだろう。有意義だった。

 講演終了後、S田先生は講演後、教室の黒板に新作の漢詩を詩を発表された。

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 教授以下、学生たちも読んで感心していた。橘は何に変わっていただろう。

平江歴史街区(へいこうれきしがいく)
 講演会も無事すんで、それなりに好評だったので、団長としてはこれでようやく一息ついた。あとはガイドさんに連れられて名所めぐりをすればいい。
 平江歴史街区は、古い運河沿いに柳並木と石畳に古い街並みが並ぶ。いいところだけれど、最初に片側工事中の道をけっこう歩いた。
 このあたりの運河も、京杭大運河(けいこうだいうんが、北京と杭州を結ぶ)のうちの江南運河の一部の蘇州段運河のさらに一部として、世界文化遺産に登録されているそうだ。
 大運河につながる運河の街、水の都蘇州の歴史地区とということである。
 李香蘭・渡辺はま子の「蘇州夜曲」で「水の蘇州の 花散る春を 惜しむか柳が すすり泣く」と歌われているのはこんな風景か。

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 最初に昆曲博物館へ入った。

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 昆曲(こんきょく)は昆劇(こんげき)ともいい、この地方を中心に行われている古典劇で、京劇より古いらしい。坂東玉三郎が「牡丹亭」という昆劇を上演して日本でも話題になったことがあった。
 当初は昆劇も見たいと思っていたが、「牡丹亭」をちゃんと見ると二時間かかって、入場料もそれなりに高いというので計画からははずした。
 中には舞台もあって、衣裳とか道具など展示してあった。こんな庭もあった。

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 運河沿いはカフェや土産物屋のような店があって、ここも観光客は多い。

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 のんびりするにはよさそうなところだったが、この日はけっこう忙しかった。



   

 

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コメント

おはようございます。
初めまして、shinzei と申します。
関係悪化著しい中国と日本ですが漢詩による交流がまだ生きていて安心しました。
私も漢詩は好きですがもっぱら読む方で詠むことはできませんが・・・。
特に蘇東坡が大好きで暗唱できるくらい読み込んでいます。
では、
shinzei拝

投稿: shinzei | 2017年12月14日 (木) 06時02分

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