横浜港の近くには、三塔と呼ばれる昭和初期からの塔があります。昔は入港する船の目印になっていて、それぞれキング、クイーン、ジャックと、トランプのカードに見立てた愛称がつけられていたといいます。
これがキング。神奈川県庁です。ちょっと和風の屋根です。

クイーンは横浜税関です。イスラム寺院風のエキゾチックなドームだそうです。

ジャックの横浜市開港記念会館。これは文明開化の西洋風です。

昔は他に高い建物もなかったので、この三塔が遠くからでも見渡せ、船の目印にもなったということですが、現在ではまわりに大きなビルが立ち並んでしまって、なかなか見通せなくなってしまいました。
それでもビルの谷間を縫うようにして、この三塔が一度に見渡せるというスポットがあります。ちょっと前まで、この場所を知っている人はそんなにいなかったのですが、いつの間にかそれが「横浜三塔物語」と名付けられて、観光名所として売り出されていました。
神奈川県のホームページにはこう書かれています。
横浜三塔を巡る物語 ~横浜三塔物語~
横浜三塔は、戦争等をくぐり抜け建ち続けてきました。いつしか船員達が航海の安全を祈り、これを目印に入港したと言われています。
この三塔ですが、実は一度に見ることができる場所は限られています。
「①赤レンガパーク」「②日本大通り」「③大さん橋」
この3つのスポットを1日で巡ると、願いが叶うという伝説があります。これが「横浜三塔物語」です。カップルで巡ると結ばれるという噂もあります。
この3つのスポットには目印が設けられています(写真)。皆さんも探して、少し幸せになりませんか。
「1日で巡ると、願いが叶う」とか「カップルで巡ると結ばれる」とか、ちょっとやめてくれ、伝説とか噂とかいうけれど、そんな話は聞いたことがないぞ。これで町おこしというのは、あまりにも発想が貧困、なんとかしてくれと言いたくなります。
しかしそもそも伝説の起こりというのはこんなものなのかもしれません。ネットで「横浜三塔物語」を検索してみると、観光案内がいっぱい出てきて、もうすでにそういう伝説があることになっています。そして最後はたいてい「あなたも行ってみてはいかが?」です。
そういえば三陸では「小石浜」が「恋し浜」に変身していました。
そう考えると、昔外国船員から「キング、クイーン、ジャック」と呼ばれていたというのも、疑ってみる必要があるかもしれませんが、こちらはもう通説になっているので詮索はよしましょう。
「あなたも行ってみてはいかが?」に誘われたわけではありませんが、日本大通り付近に胃の検診に行ったついでに、鑑賞スポットを検証してきました。日本大通りの神奈川県庁分庁舎前です。

ここが上記の「②日本大通り」のスポットで、路面にこんなプレートがありました。それぞれの塔が見える方角を示しています。

これだけ角度があると、わたしのカメラでは一枚に入り切りません。しかも銀杏並木の葉が繁っていることもあり、目の前の県庁はともかく、開港記念開館と横浜税関はよく見えません。これが開港。

こちらが税関です。

わたしが以前この場所を教えてもらったときも、葉が落ちる冬場じゃないとよく見えないと言われました。赤レンガパークと大桟橋は今のような形になる前だったので、ここだけだとも言われました。
ネットでは、上記三カ所に加えて、象の鼻パークでも見られると書かれています。象の鼻というのは大桟橋の付け根のあたりにある、先が曲がっていて象の鼻のような形をした防波堤です。最近まわりが公園として整備されました。
地図を見てみると、位置関係はこうなっています。赤丸の1が分庁舎前です。なるほど赤レンガと大桟橋から見えるなら、象の鼻パークからも見えそうです。

象の鼻まで足を伸ばしてみました。赤丸の2の場所です。見えました。開港はかろうじて、というところですが、一枚の写真に収まりました。こんな写真しか撮れなかったのは、わたしの責任です。
実は、三塔一望の話を思い出したのは、最近わが家の近くのT字路交差点に、三軒目のコンビニが新装開店したことからでした。至近距離に三軒のコンビニ、これでみんな営業が成り立つのか、どこか脱落するのではないか、ちょっと心配です。
交差点で頭をぐるりと回せば問題なく三店は見えますが、三店を一望して一枚の写真におさめられるポイントがあるかどうか、やってみました。

なんとか入りました。
今のところ、ここに立っても、この三店を廻っても特に恩恵はありません。
何か伝説を考えないといけません。